...弾条(ぜんまい)のきしむ音と共に時計が鳴り出した...
有島武郎 「クララの出家」
...もちろん干したぜんまいをもどし...
石川欣一 「飢えは最善のソースか」
...義雄はそれで思ひ出したが、樺太ノダサンの殖民豫定地を巡見する時、濕地蕗(ヤチぶき)や大いたどりの人影を沒する間をかき分け、水芭蕉や、濕地ぜんまいや、道一面の木賊(とくさ)などを踏み行き、一條の小流れへ出ると、ちよツとしたドロ柳の曲りくねつた幹の上で、二三匹の栗鼠が遊んでゐるのを見た...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...大きい螺旋(ぜんまい)がはじけたように...
太宰治 「佐渡」
...蕨やらぜんまいやら...
谷崎潤一郎 「卍(まんじ)」
...ぜんまいや歯車はあるが金側(きんがわ)時計がない...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...寸断された人間の死体がこれ等すべての首無のぜんまい人形に吸込まれ...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「見えざる人」
...ぜんまいや、稀に蕨(わらび)も立つが、滅多に見かえる者も無い...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...綿帽子着た銭巻(ぜんまい)...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...一片の小さな鋼鉄の時計の撥条(ぜんまい)に歯をつけて鋸(のこぎり)にしたものだ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...空中に径一尺ぐらゐの黒い渦巻がかかつて時計のぜんまいみたいに脈をうつ...
中勘助 「銀の匙」
...しだやぜんまいの上(うえ)に両手(りょうて)をつき...
新美南吉 「牛をつないだ椿の木」
...意識のぜんまいが動き出した...
萩原朔太郎 「宿命」
...ばうばうとした虚無の中を雲はさびしげにながれて行き草地も見えず 記憶の時計もぜんまいがとまつてしまつた...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...またそのむらがる枝の葉かげに ぞくぞくと繁茂するところの植物およそ しだ わらび ぜんまい もうせんごけの類地べたいちめんに重なりあつて這ひまはるそれら青いものの生命(いのち)それら青いもののさかんな生活...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...彼はぜんまい仕掛けの紳士よろしく...
原民喜 「玩具」
...弾機(ぜんまい)のジジジジほぐれる音が折々するだけであった...
宮本百合子 「明るい海浜」
...あの山からぐるりとまわって(左へ)あたり前の山中らしくぜんまいなど生えた径をぬけるとお墓がありました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
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