...弾条(ぜんまい)のきしむ音と共に時計が鳴り出した...
有島武郎 「クララの出家」
...椅子がぜんまいでギギイと巻上る……といった勢(いきおい)...
泉鏡花 「薄紅梅」
...義雄はそれで思ひ出したが、樺太ノダサンの殖民豫定地を巡見する時、濕地蕗(ヤチぶき)や大いたどりの人影を沒する間をかき分け、水芭蕉や、濕地ぜんまいや、道一面の木賊(とくさ)などを踏み行き、一條の小流れへ出ると、ちよツとしたドロ柳の曲りくねつた幹の上で、二三匹の栗鼠が遊んでゐるのを見た...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...発条(ぜんまい)のゆるんだボンボン時計の様な音が響いて来た...
江戸川乱歩 「一寸法師」
...指頭(ゆびさき)で器用にぜんまいを捲いた...
薄田泣菫 「茶話」
...大名はぜんまい仕掛(しかけ)の玩具(おもちや)でも見せられたやうに首を捻(ひね)つて感心してしまつたといふことだ...
薄田泣菫 「茶話」
...大きい螺旋(ぜんまい)がはじけたように...
太宰治 「佐渡」
...・ぜんまい ・おばぜり五月三日晴...
種田山頭火 「行乞記」
...箱の中には時計の撥条(ぜんまい)が隠されている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...しだやぜんまいの上(うえ)に両手(りょうて)をつき...
新美南吉 「牛をつないだ椿の木」
...撥條(ぜんまい)を卷かれた竹田人形のやうに...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その上に腰をかけて編物をしてゐる娘もなく煖爐に坐る黒猫の姿も見えない白いがらんどうの家の中で私は物悲しい夢を見ながら古風な柱時計のほどけて行く錆びたぜんまいの響を聽いた...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...もう黙っていない」発条(ぜんまい)のゆるんだ煖炉棚の時計が...
久生十蘭 「肌色の月」
...時計はぜんまいが解けてしまって七時で止っていたのです!私どもは滞潮の時刻に遅れたのです...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「メールストロムの旋渦」
......
槇村浩 「明日はメーデー」
...そのへん一杯(いっぱい)にぜんまいの芽(め)のようなものが見えたり...
宮沢賢治 「雁の童子」
...棒の先へ鋼鉄の線条(はりがね)を螺旋(ぜんまい)のように巻いて着けてあるばかりです...
村井弦斎 「食道楽」
...ぜんまいの戻った時計を振ると...
森鴎外 「百物語」
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