...わあっとせめて来そうである...
海野十三 「火星兵団」
...これの中流以上の家庭に幾分残存するのがせめてもの幸いである...
大隈重信 「婦人問題解決の急務」
...いつもせめて、これぐらいにでも打ち解けて呉(く)れるといいが、と果敢(はか)なくも願うのだった...
太宰治 「葉」
...せめて元田宮中顧問官でも生きていたらばと思う...
徳冨蘆花 「謀叛論(草稿)」
...せめて自分を之と同一視して満足しようとする...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...せめて、この、おとなしい湖畔の町だけには、もはや再び、あの甲府城下、弥勒寺長屋時代の陰惨な絵巻を繰りひろげて見せたくはないものだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...せめて浪漫(ロマン)的な恋をとおもうが...
林芙美子 「恋愛の微醺」
...――その時はツルゲーネフに非常な尊敬をもってた時だから、ああいう大家の苦心の作を、私共の手にかけて滅茶々々にして了うのは相済まん訳だ、だから、とても精神は伝える事が出来んとしても、せめて形なと、原形のまま日本へ移したら、露語を読めぬ人も幾分は原文の妙を想像する事が出来やせんか、と斯う思って、コンマも、ピリオドも、果ては字数までも原文の通りにしようという苦心までした...
二葉亭四迷 「予が半生の懺悔」
...私にはせめてもの気休めになった...
堀辰雄 「ほととぎす」
...せめてもの腹いせに持出したものらしい...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...せめて緑郎一人ぐらい何ものかであっていいわ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...せめてわたしはその厚みを増したいと思う...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...せめて慰めているにちがいない...
吉川英治 「三国志」
...せめてこよいは祭をせん...
吉川英治 「三国志」
...――せめて一夜は...
吉川英治 「私本太平記」
...せめて、御最期の一刻(いっとき)だけでも、ここにいる者はみな一心同体ぞと、人を信じ、世を信じ、お潔(いさぎよ)く、また安らけく、死出のお門立(かどた)ち遊ばしませ」と、なぐさめた...
吉川英治 「新書太閤記」
...早く手分けをして、せめて、彼の泊っている宿先でも」「そうだ、宿を突きとめろ」又八は本能寺の大溝(おおみぞ)へ向いて、黙然と首を垂れていたが、わらわら駈け去ってゆく跫音へ、何思ったか、「あ、もしっ、しばらく」と、呼びとめた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...そして、ふと、「せめて又八も、あのくらいに、人間が出来てくれれば……」と呟(つぶや)いた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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