...そんなに身体を動かしちゃ、ずるいや...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...それは運命にまかせるという、あの一等ずるい、一等安全な方法よ...
江戸川乱歩 「断崖」
...ずるい女は、後妻に嫁(ゆ)きたがるもので、先妻が男の生活をおもちや箱のやうにぶちこはした後だつたら、どんな女だつて天の使ひのやうに立派に見えるものだといふが、かうして九度も十一度も結婚した人のあることを思ふと、天使はいつまでも天使ではゐないものと見える...
薄田泣菫 「茶話」
...プラットには老獪なところがあって、ちょっとずるい、蔭ではなにをやらかすか分らんようなところがあったのです...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「予謀殺人」
...」ずるい弟は、しんから嬉しかった...
太宰治 「一燈」
...ほんとうに、抜け目がなくて、ずるいんだから...
太宰治 「新ハムレット」
...ずるいのだぞ...
太宰治 「八十八夜」
...私は、いくら酒を飲んでも、乱れるのは大きらいのたちですから、その悪口も笑って聞き流していましたが、家へ帰って、おそい夕ごはんを食べながら、あまり口惜(くや)しくて、ぐしゃと嗚咽(おえつ)が出て、とまらなくなり、お茶碗(ちゃわん)も箸(はし)も、手放して、おいおい男泣きに泣いてしまって、お給仕していた女房に向い、「ひとが、ひとが、こんな、いのちがけで必死で書いているのに、みんなが、軽いなぶりものにして、……あのひとたちは、先輩なんだ、僕より十も二十も上なんだ、それでいて、みんな力を合せて、僕を否定しようとしていて、……卑怯(ひきょう)だよ、ずるいよ、……もう、いい、僕だってもう遠慮しない、先輩の悪口を公然と言う、たたかう、……あんまり、ひどいよ...
太宰治 「美男子と煙草」
...ずるいやつた知ってたが...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...誰(たれ)が一番ずるいと思ふ?」「俺(おれ)は第一の泥坊だと思ふ」と一人の盗賊がいひました...
豊島与志雄 「エミリアンの旅」
...それはパシアンスという百姓であって、素朴(そぼく)な、小賢(こざか)しい、ずるい男で、打たれ、奪われ、勝手なことをされ――妻を愛され、畑を荒らされ、人からされるままになり――それでいて飽かずに、自分の土地を耕し――戦争にやらされ、あらゆる打擲(ちょうちゃく)を受け、人からされるままになり――主人たちの功績や自分が受ける打擲を、期待し面白がり、「このままでいつまでつづくものか」と考え、最後の蹉跌(さてつ)を予見し、それを横目でじろじろ待ち受け、無言の口を大きく開いてすでに前もって嘲笑(あざわら)っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...いちばんずるいのは...
豊島与志雄 「山の別荘の少年」
...それに彼女のずるい性質が更につけ加わったのである...
豊島与志雄 「理想の女」
...チャラピタはキクッタのずるいのにはこりてゐますから...
宮原晃一郎 「熊捕り競争」
...ずるいと言っても...
三好十郎 「樹氷」
...彼らはこういうずるい手を打つ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ずるいって――とも言うんだよ」――随分な人です……...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...御辺はずるい」「これはさっそくな御返報...
吉川英治 「私本太平記」
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