...頭の中がしんしんと冴(さ)えるようになって行ったと思うと...
有島武郎 「或る女」
...またしんしんと静まってしまう...
豊島与志雄 「霧の中」
...しんしんと深まってゆきました...
豊島与志雄 「渡舟場」
...今度は、マントを縦にして、頭から、足の先まで冠ってみたが、腰掛の板から、夜中の凍気が、しんしんと、身体を刺してくる...
直木三十五 「死までを語る」
...月もみえずにしんしんと不安の闇がふけてゆく...
中勘助 「島守」
...この気が遠くなるほど古く芒洋とした話は京洛のそれとちがひしんしんとした杉の森のなかに黒ぐろとたつてる東国の社にふさはしい趣をそへる...
中勘助 「府中のけやき」
...しんしんと大空を摩す大樹となる...
中井正一 「図書館法の成立」
...しんしんと四辺が静まりかえって来る...
中谷宇吉郎 「大雪山二題」
...しんしんとして、木蓮(もくれん)は幾朶(いくだ)の雲華(うんげ)を空裏(くうり)に(ささ)げている...
夏目漱石 「草枕」
...あのさわやかな鐘の音が眞夜中を報じてしんしんと鳴り響くのであらう...
「修道院の秋」
...しんしんと私は羨ましかった...
正岡容 「わが寄席青春録」
...あまりの絶景に恍惚(こうこつ)として立ちも得さらず木のくいぜに坐してつくづくと見れば山更にしんしんとして風吹かねども冷気冬の如く足もとよりのぼりて脳巓(のうてん)にしみ渡るここちなり...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...樹がしんしんと立っている...
水野葉舟 「遠野へ」
...波がぴたぴた云ひ針金の綱はしんしんと鳴りました...
宮沢賢治 「革トランク」
...その底がどれほど深いかその奥に何があるかいくら眼をこすってのぞいてもなんにも見えずたゞ眼がしんしんと痛むのでした...
宮沢賢治 「銀河鉄道の夜」
...しんしんとした土のしめりと靴底の紙まがいのゴムからしみとおる冷えで...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...しんしんと庇(ひさし)を打つ雨の音に聴きいっていた...
山本周五郎 「桑の木物語」
...しんしんと三味線の革が頭に痛い...
吉川英治 「梅※[#「風にょう+思」、第4水準2-92-36]の杖」
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