...しんしんと雪はとめ度なく降り出して来た...
有島武郎 「カインの末裔」
...底(そこ)びえのする寒(さむ)さがしんしんとせまっていた...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...しんしんと体がどこかに沈み込んで行くような感じがするね...
梅崎春生 「狂い凧」
...背骨がしんしんと痛み始めている...
梅崎春生 「狂い凧」
...私が言へば答へる人は忽ち童話の中に生き始めかすかに口を開いて雪をよろこぶ雪も深夜をよろこんで数限りもなく降りつもるあたたかい雪しんしんと身に迫つて重たい雪が――大正二・二人に遊びぢやない暇つぶしぢやないあなたが私に会ひに来る――画もかかず...
高村光太郎 「智恵子抄」
...夜になると風がやんでしんしんと寒くなった...
太宰治 「魚服記」
...しんしんとした肌寒さだ...
豊島与志雄 「復讐」
...しんしんと雪のふってる夜ふけです...
豊島与志雄 「山の別荘の少年」
...きれいに箒目のたつた仕事場のあとを見まはると今までの賑かさにひきかへしんしんとして夕靄がかかつてくる...
中勘助 「銀の匙」
...この気が遠くなるほど古く芒洋とした話は京洛のそれとちがひしんしんとした杉の森のなかに黒ぐろとたつてる東国の社にふさはしい趣をそへる...
中勘助 「府中のけやき」
...湯がしんしんと沸いてくると...
林芙美子 「暗い花」
...初めて蝉(せみ)がしんしんと鳴き出したし...
林芙美子 「清貧の書」
...しんしんとふり積る雪の日の静けさは...
本庄陸男 「石狩川」
...もうおもてはしんしんと雪ふっている...
正岡容 「我が圓朝研究」
...いい気持そうに、弥蔵(やぞう)をきめて、いくらか、皺枯(しゃが)れた、錆(さび)た調子で、たまさかに一座はすれど忍ぶ仲晴れて顔さえ見交わさずまぎらかそうと自棄(やけ)で飲むいっそしんきな茶碗酒雪になりそな夜の冷えなどと、呑気そうな、隆達(りゅうたつ)くずしが、しんしんと、更(ふ)け渡るあたりの静けさを、寂しく破るのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...しんしんと庇(ひさし)を打つ雨の音に聴きいっていた...
山本周五郎 「桑の木物語」
...しんしんと更けわたる十一月の初めの或夜(あるよる)に...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...「はい」「しんしんと寒くなりましたことねえ……」「師走といえば...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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