...しんしんと底も知らず澄み透(とお)った心がただ一つぎりぎりと死のほうに働いて行った...
有島武郎 「或る女」
...頭の中がしんしんと冴(さ)えるようになって行ったと思うと...
有島武郎 「或る女」
...しんしんとして物一つ動かぬ静かさは膚(はだ)にしみわたりて単衣(ひとえ)に寒さを覚えたり...
伊藤左千夫 「滝見の旅」
...身体がしんしんと冷えてくる...
豊島与志雄 「オランウータン」
...またしんしんと静まってしまう...
豊島与志雄 「霧の中」
...なにかしんしんと考え耽ってるようでもあり...
豊島与志雄 「水甕」
...しんしんとした感じで...
豊島与志雄 「落雷のあと」
...森はしんしんとしずまりかえっておりおり杉の枯葉がこそりと落ちるばかり...
中勘助 「島守」
...やはり翌朝は、西風に乗った雪が霧藻をなびかせて降りしきり、しんしんと寒い...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...雪はしんしんと降っている...
中谷宇吉郎 「大雪山二題」
...しんしんとして、木蓮(もくれん)は幾朶(いくだ)の雲華(うんげ)を空裏(くうり)に(ささ)げている...
夏目漱石 「草枕」
...それはあたりの靜かな空氣の中にしんしんと沁み渡つた...
「修道院の秋」
...濱邊若ければその瞳(ひとみ)も悲しげにひとりはなれて砂丘を降りてゆく傾斜をすべるわが足の指にくづれし砂はしんしんと落ちきたる...
萩原朔太郎 「純情小曲集」
...しんしんと小屋の中が冷えてくると...
久生十蘭 「キャラコさん」
...その明るい光りはしんしんと音立てながら降っている...
本庄陸男 「石狩川」
...芹をつむ芹の沼べり今日もまためだかが浮いた肩あげの肩が細いとあの人はやさしく言つた名も知らぬ小鳥が鳴いた讃岐の山雲が通つたあの人は麦笛ふいた泪ぐみ昼月(つき)みて聴いた肩あげの肩も抱かずにあの人は黙つて去(い)つた芹かごの芹のかほりがしんしんと胸に沈んだ...
森川義信 「あの人」
...頭の鉢をしんしんと締めつけられるように呻(うめ)いて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...しんしんと田舎にまで聞えてきた」「念仏...
吉川英治 「源頼朝」
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