...念被観音力(ねんぴかんのんりき)観音の柳の露より身にしみじみと...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...あまりに物のはかなさに、空手(むなて)をしめて、よゝと泣く吐息(といき)ためいきとめあへず、愁(うれ)ひ嘯(うそぶ)くをりしもあれ、ふしぎや、音のしみじみと、うつろ蘆莖(あしぐき)鳴りいでぬ、蘆(あしつゝ)響き鳴りいでぬ...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...しかも、見よ、いまはこの原野にも着々と開墾の鍬が入れられ、人家の屋根も美しく光り、あれが更生部落、あれが隣村の分村、とアヤの説明を聞きながら、金木も発展して、賑やかになつたものだと、しみじみ思つた...
太宰治 「津軽」
...正枝は何だかしっくりしない気持で、野性味のある秀才型の李の顔を、しみじみ眺めた...
豊島与志雄 「浅間噴火口」
...セリーヌ・シャブランをしみじみとほめたたえ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...夜はしみじみと更けていった...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...しみじみとお礼をいわせるぜ」「でも...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...野の景色ほどしみじみと好きなものはございません...
長谷川時雨 「平塚明子(らいてう)」
...寒さがしみじみとこたえて来る...
林芙美子 「新版 放浪記」
...しみじみとした早苗の話をきき...
林芙美子 「風媒」
...しみじみと眺めれば...
原民喜 「忘れがたみ」
...下からしみじみ見あげる自然木の垂木(たるき)や小枝の木舞(こま)いはひどく馴染(なじ)みのないものであった...
本庄陸男 「石狩川」
...すずしさをしみじみ感じました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...源氏もしみじみ独棲(ひとりず)みの寂しさを感じるようであった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...春日新九郎は、今しみじみと、初めてこの二字に宿命されている自分の生い立ちを考え、共に、間違いなく、その宿命へ入ってゆく不可思議さに、愕(おどろ)きとおののきとを禁じ得ない...
吉川英治 「剣難女難」
...一体どこに来ているだろうねえ……アア会いたい! もう一度しみじみ会って……」熱に浮かされた病人のように...
吉川英治 「剣難女難」
...沁々(しみじみ)と思います』『…………』『男なればと思うことが...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...しみじみ胸にしみ込んで来る...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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