...それからの私(わたくし)はただ一個(こ)の魂(たましい)の脱(ぬ)けた生(い)きた骸(むくろ)……丁度(ちょうど)蝕(むしば)まれた花(はな)の蕾(つぼみ)のしぼむように...
浅野和三郎 「霊界通信 小桜姫物語」
...三日目の朝電燈が百合(ゆり)の花のしぼむように消えるころ葉子はふと深い眠りから蒸し暑さを覚えて目をさました...
有島武郎 「或る女」
...今度は花弁(はなびら)のしぼむ状(さま)に白い指のさきで揺れた...
泉鏡花 「薄紅梅」
...それが終われば乾いてしぼむ...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...ひつそりと落葉する木の・音がして落ちるは柿の葉で・あれは木の実の声です・夜はしぼむ花いけてひとりぐらし夜に入つてから樹明君来庵...
種田山頭火 「其中日記」
...けふのサイレンのいつまでも鳴り・うつてもうたれても蝿は膳のそば(雑)・かついでおもいうれしい春の穂・焼かれる虫の音たてて死ぬる・暮れるとしぼむ花草でてふてふの夢・花に花が...
種田山頭火 「其中日記」
...かれとこれとに隔たれどにほひは同じ星と花笑みと光を宵々に替はすもやさし花と星されば曙(あけぼの)雲白く御空の花のしぼむとき見よ白露のひとしづくわが世の星に涙あり...
土井晩翠 「天地有情」
...茄子の葉は日にしぼむ故...
長塚節 「長塚節歌集 上」
...雪が硝子にしぼむよな...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
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野口雨情 「雨情民謡百篇」
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野口雨情 「沙上の夢」
...螢草垣根の外に来ては泣く故郷(ふるさと)の恋しい唄に聞きほれて垣根の外に来ては泣く下野(しもつけ)の機場(はたば)にしぼむ螢草(ほたるぐさ)垣根の外に故郷の恋しい唄を聞いて泣く...
野口雨情 「別後」
...遲(おく)れ咲(ざき)の花(はな)も梢(こづゑ)にしぼむ頃(ころ)なれど...
樋口一葉 「われから」
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正岡子規 「俳諧大要」
...ガクンと提灯がしぼむように後ろに坐りこんでしまう)房代 あーあ!須永 どうも……すみません...
三好十郎 「冒した者」
...〔無題〕朝顔の花の朝咲いてまだ午前(ひるまへ)にしぼむとも...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...いつまでもしぼむことなく...
吉井勇 「老境なるかな」
...そして額の上には永遠にしぼむことのない月桂樹の冠が誇らしくこびりついている...
和辻哲郎 「ベエトォフェンの面」
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