...乾大根の尻尾みたいにしなびた顔を...
伊藤永之介 「押しかけ女房」
...かの女の拵らへるしなびた茄子の鴫燒きや...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...しなびたようなじいさんだ...
江戸川乱歩 「影男」
...何か惨(みじ)めな生活の垢(あか)といったものをしみ込ませたような燻(くす)んだ、しなびた、生気のない顔ばかりで、まるでヘットそのものを食うみたいな、豚(ぶた)の油でギロギロのお好み焼を食っていながら、てんで油気のない顔が揃(そろ)っていた...
高見順 「如何なる星の下に」
...この二人の友だちからだんだん遠のいて行くおのれのしなびた血を...
太宰治 「道化の華」
...しなびた草がそこかしこに生え散らかっていた...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...しなびた皮膚が粉のように一めんに剥(は)げ始めてきた...
徳永直 「冬枯れ」
...虱のしなびた小さい体の中に...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...南瓜(とうなす)のしなびた花のような...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...裸の人間の足……乾いて小さくしなびた老人の蹠(あしのうら)がつきだされていた...
久生十蘭 「金狼」
...しなびた胡瓜(きゅうり)のごとなって...
火野葦平 「花と龍」
...『ロンドン カラカラ しなびたスポンジ 絶対的水不足! ロンドン 病原菌汚染 地下管から水源からドバーッ!』こんな踊る見出しがチェイス記者の短髪頭の中でくるくる回っていた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...それほど衰えしなびたものとはならず...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...どこかしら歪(ゆが)んだしなびたような躯つきの...
山本周五郎 「雨あがる」
...貧相なしなびたようなとしよりで...
山本周五郎 「似而非物語」
...躯はしなびた糸瓜(へちま)のように痩(や)せていた...
山本周五郎 「季節のない街」
...それは小さなしなびたような男で...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...永観どのか」長年はそのしなびた法師首を抱き取った...
吉川英治 「私本太平記」
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