...同時にまた脚は――と言うよりもズボンはちょうどゴム風船のしなびたようにへなへなと床(ゆか)の上へ下りた...
芥川龍之介 「馬の脚」
...しなびた眼から涙があふれ落ちた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...何か惨(みじ)めな生活の垢(あか)といったものをしみ込ませたような燻(くす)んだ、しなびた、生気のない顔ばかりで、まるでヘットそのものを食うみたいな、豚(ぶた)の油でギロギロのお好み焼を食っていながら、てんで油気のない顔が揃(そろ)っていた...
高見順 「如何なる星の下に」
...◆三月一日発行『川柳人』二五七号自由旗の下に鶴 彬しなびた胃袋にやらう鬼征伐のキビ団子!×かまきりの斧をぶんどる蟻の屍(シカバネ)×工場へ! 学校へ!わかれて行けといふ道だ!×杭うちのどひゞきよあゝ...
鶴彬 「鶴彬全川柳」
...それがこのしなびた肉体の中に滲み込んで行くような心持をかすかに自覚しているだけであった...
寺田寅彦 「浅草紙」
...しなびた草がそこかしこに生え散らかっていた...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...そのしなびたものを見かけるくらいである...
豊島与志雄 「「自然」」
...この緑素の少いしなびた植木がいけない...
豊島与志雄 「南さんの恋人」
...小柄でしなびた老媼の方は...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...そのしなびた顔を覗(のぞ)きこんだ...
中村地平 「南方郵信」
...しなびた顏立ちで...
林芙美子 「雨」
...みな(しなびた花(フルウル・パッセ))よ...
久生十蘭 「キャラコさん」
...しなびた兵隊さんは頭をかきながらいった...
久生十蘭 「だいこん」
...」しなびた老婆は彼女の帽子と紐の下で...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...『ロンドン カラカラ しなびたスポンジ 絶対的水不足! ロンドン 病原菌汚染 地下管から水源からドバーッ!』こんな踊る見出しがチェイス記者の短髪頭の中でくるくる回っていた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「死の川」
...ボタン穴にしなびた茎が刺さっている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...それほど衰えしなびたものとはならず...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...顔も体もしなびたように小さい...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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