...しかしそこにはどの画(え)よりもしっとりした明るさが漂(ただよ)っていた...
芥川龍之介 「春」
...しっとりした衣服の下から睡眠の殿軍を追い払う...
石川欣一 「山を思う」
...しっとりした縞(しま)お召に...
泉鏡花 「婦系図」
...軽く弾(はじ)かれるようでしっとりした感じが爪先から腹にまでも伝わって来るようだ...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...だんだん明るい通りを離れて暗いしっとりした町へ入って行った...
徳田秋声 「足迹」
...しっとりした空気や...
徳田秋声 「あらくれ」
...外にはしっとりした靄が細い雨に縫われて低く垂れている...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...それにふさわしいしっとりした言葉のやりとりが...
豊島与志雄 「山上湖」
...しっとりした、有機性の薫りだ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...」「しっとりした都会(とち)で...
長谷川時雨 「モルガンお雪」
...袖付や袵(おくみ)の皺が苔でも置いたようなしっとりした青味(あおみ)の谷をつくって...
久生十蘭 「猪鹿蝶」
...何処(どこ)かしっとりした所が有ッて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...ここでは――このしっとりした落着きのある山荘のなかでは...
堀辰雄 「恢復期」
...阿賀妻の捉(つか)みどころのないものの考え方にはしっとりした一片の人情もないと見究めた...
本庄陸男 「石狩川」
...青葉の陰翳が肩に落ちて来るようなしっとりしたその道を何心なく行くと...
宮本百合子 「犬三態」
...父の立てた茶は温和にしっとりした味いと湯加減の適度とをもって...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...こんなにしっとりしたいい町だったのかと見なおすような気持だった...
山本周五郎 「柳橋物語」
...刃物と石の互いに吸いつくようなしっとりした味が...
山本周五郎 「柳橋物語」
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