...肌触りさえない世界の故か...
江戸川乱歩 「火星の運河」
...どだい猟夫というものを見たことさえないのに...
太宰治 「女人訓戒」
...その後にもかつて鴫突きの話を聞いた事さえない...
寺田寅彦 「鴫突き」
...――で金を借りる能力さえないこういう連中は...
戸坂潤 「社会時評」
...賢明でなく怜悧(れいり)でなくたいして幸福でさえないかもしれないと...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...僕には憎む力さえないのだ...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...寝ていたいとの気持ちさえないのだった...
豊島与志雄 「春盲」
...だがもうこさえない...
トルストイ Tolstoi 菊池寛訳 「イワンの馬鹿」
...二十(はたち)の女給を捉(とら)えて世を憚(はばか)らず往々青年の如く相戯れて更に愧(はじ)る心さえない...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...与次郎と蕎麦(そば)などを食う時のように、気がさえない...
夏目漱石 「三四郎」
...だからして中味を持っているものすなわち実生活の経験を甞(な)めているものはその実生活がいかなる形式になるかよく考える暇さえないかも知れないけれども...
夏目漱石 「中味と形式」
...その地点を示すべき石さえないという始末だった...
久生十蘭 「カストリ侯実録」
...さえない単調な生活を邪魔したりした時...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「真劇シリーズ」
...それは風景としての自然でさえない...
三木清 「読書遍歴」
...そこがさむくさえないならば...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...まだ一度も会ったことさえない……...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...世間の人たちが信義の欠如から一そうしばしばすることさえないならば...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...われわれにはその一つの灯さえないのだ」「松山は疲れている」と甲斐が云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
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