...日本には伝言を頼むような近親(みより)さえない身だというような事を聞くたびに...
有島武郎 「或る女」
...恐れを感じている余裕さえないように見えた...
江戸川乱歩 「影男」
...君はあすこの金庫のひらき方を知っているね」「股野はあたしにさえないしょにしていたけれど...
江戸川乱歩 「月と手袋」
...――まず坑内には骨さえないのですから...
大阪圭吉 「坑鬼」
...彼の技倆(ぎりょう)を計るよすがさえない有様で...
太宰治 「ダス・ゲマイネ」
...しかしイワンは頭をふって、「いいや、もうこさえない...
トルストイ Tolstoi 菊池寛訳 「イワンの馬鹿」
...眼前の利にのみ齷齪(あくせく)して世界に二つとない自国の宝の値踏(ねぶみ)をする暇(いとま)さえないとは...
永井荷風 「日和下駄」
...煙草の煙の出場所さえないくらいですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...この旦那様をさえないものにすれば……幸いここは甲斐と信濃の山路の奥...
中里介山 「大菩薩峠」
...与次郎と蕎麦(そば)などを食う時のように、気がさえない...
夏目漱石 「三四郎」
...だからして中味を持っているものすなわち実生活の経験を甞(な)めているものはその実生活がいかなる形式になるかよく考える暇さえないかも知れないけれども...
夏目漱石 「中味と形式」
...その証拠さえないように思われた...
牧逸馬 「上海された男」
...一世一代の重大な危機にのぞんでいるという自覚さえないように...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...王さまは食べる元気さえない...
室生犀星 「螽※[#「虫+斯」、第3水準1-91-65]の記」
...それ以外の絵は描く力さえないのであります...
柳宗悦 「益子の絵土瓶」
...遠州の如きは歯牙(しが)にかけるほどのものでさえないと思われてならぬ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...あとは二階さえない位の安バラックや...
夢野久作 「街頭から見た新東京の裏面」
...その利害を思慮してみる勇気さえない...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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