...ひたすらごまかしのない道を進むよりほかはない...
永井隆 「この子を残して」
...ごまかしのない答えがあるだろうか...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...ごまかしのないもの...
山本周五郎 「新潮記」
...「おらあ、それをいのちに生きて来た」と重吉は云った、「身についた能の、高い低いはしようがねえ、けれども、低かろうと、高かろうと、精いっぱい力いっぱい、ごまかしのない、嘘いつわりのない仕事をする、おらあ、それだけを守り本尊にしてやって来た、ところが、それが間違いだっていうんだ、時勢が変った、そんな仕事はいまの世間にゃあ通用しねえ、そんなことをしていちゃあ、女房子が可哀そうだっていうんだ」重吉は顔をあげ、唇をゆがめながら、少し意地悪な調子で云った、「いまは流行が第一の世の中だ、めさきが変っていて安ければ客は買う、一年も使ってこわれるかあきるかすれば、また新しいのを買うだろう、それが当世だ、しょせん火鉢は火鉢だって」「おめえ、どう思う」と重吉は喜助を見た、「そんなこっていいと思うか、みんなが流行第一、売れるからいい、儲かるからいいで、まに合せみたような仕事ばかりして、それで世の中がまっとうにゆくと思うか、――それぁ、いまのまに合う、そういう仕事をすれぁ、金は儲かるかもしれねえ、現におめえも知ってるとおり、檜物町も金六町も店を張って、金も残したし世間から立てられるようにもなった、それはそれでいいんだ、あの二人はそうしてえんだから、それでいいんだ、――おめえ、金六町と檜物町を知ってるか」「それぁ、そのくらいのことはね、親方」と喜助はあいそ笑いをした、「ま一つ、お酌しましょう」重吉は盃をみつめた...
山本周五郎 「ちゃん」
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