...しかし世の中にはいろいろなものがあってそれを暫くでもごまかしてくれる...
伊藤野枝 「出奔」
...そして色彩でごまかしたような画...
上村松園 「日本画と線」
...ごまかしたってだめだ...
江戸川乱歩 「青銅の魔人」
...笑い顔でごまかしているのです...
江戸川乱歩 「天空の魔人」
...そのためイナゴは色彩で蟻のごとくに見えるようにごまかして...
丘浅次郎 「自然界の虚偽」
...つまり嘘かごまかしかの皮をかぶってる...
豊島与志雄 「或る夜の武田麟太郎」
...また毎週の会計をきまってごまかしてること...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「箱をとりのける時にごまかしたんだ...
豊島与志雄 「シロ・クロ物語」
...いいかげんのところでごまかしてしまうんでございますよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...何でも女をごまかしたり...
夏目漱石 「虞美人草」
...二重な笑いでごまかしか……うきよとはよくも云い当てしものかな――...
林芙美子 「新版 放浪記」
...お京(きやう)は家(うち)に入(い)るより洋燈(らんぷ)に火(ひ)を點(うつ)して、火鉢(ひばち)を掻(か)きおこし、吉(きつ)ちやんやお焙(あた)りよと聲(こゑ)をかけるに己(お)れは厭(いや)だと言(い)つて柱際(はしらぎは)に立(た)つて居(ゐ)るを、それでもお前(まへ)寒(さぶ)からうではないか風(かぜ)を引(ひ)くといけないと氣(き)を附(つ)ければ、引(ひ)いても宜(よ)いやね、構(かま)はずに置(お)いてお呉(く)れと下(した)を向(む)いて居(ゐ)るに、お前(まへ)は何(ど)うかおしか、何(なん)だか可笑(をか)しな樣子(やうす)だね私(わたし)の言(い)ふ事(こと)が何(なに)か疳(かん)にでも障(さは)つたの、それなら其(その)やうに言(い)つて呉(く)れたが宜(い)い、默(だま)つて其樣(そん)な顏(かほ)をして居(ゐ)られると氣(き)に成(な)つて仕方(しかた)が無(な)いと言(い)へば、氣(き)になんぞ懸(か)けなくてもいゝよ、己(お)れも傘屋(かさや)の吉三(きちざう)だ女(をんな)のお世話(せわ)には成(な)らないと言(い)つて、凭(より)かかりし柱(はしら)に脊(せ)を擦(こす)りながら、あゝ詰(つま)らない面白(おもしろ)くない、己(お)れは本當(ほんたう)に何(なん)と言(い)ふのだらう、いろいろの人(ひと)が鳥渡(ちよつと)好(い)い顏(かほ)を見(み)せて直樣(すぐさま)つまらない事(こと)に成(な)つて仕舞(しま)ふのだ、傘屋(かさや)の先(せん)のお老婆(ばあ)さんも善(い)い人(ひと)であつたし、紺屋(こうや)のお絹(きぬ)さんといふ縮(ちゞ)れつ毛(け)の人(ひと)も可愛(かあい)がつて呉(く)れたのだけれど、お老婆(ばあ)さんは中風(ちゆうふう)で死(し)ぬし、お絹(きぬ)さんはお嫁(よめ)に行(ゆ)くを厭(いや)がつて裏(うら)の井戸(ゐど)へ飛込(とびこ)んで仕舞(しま)つた、お前(まへ)は不人情(ふにんじやう)で己(お)れを捨(す)てゝ行(ゆ)くし、もう何(なに)も彼(か)もつまらない、何(なん)だ傘屋(かさや)の油(あぶら)ひきなんぞ、百人前(ひやくにんまへ)の仕事(しごと)をしたからとつて褒美(はうび)の一(ひと)つも出(で)やうでは無(な)し、朝(あさ)から晩(ばん)まで一寸法師(いつすんぼし)の言(い)はれつゞけで、それだからと言(い)つて一生(いつしやう)經(た)つても此(この)身長(せい)が延(の)びやうかい、待(ま)てば甘露(かんろ)といふけれど己(お)れなんぞは一日々々(いちにち/\)厭(いや)な事(こと)ばかり降(ふ)つて來(き)やがる、一昨日(をとゝひ)半次(はんじ)の奴(やつ)と大喧嘩(おほげんくわ)をやつて、お京(きやう)さんばかりは人(ひと)の妾(めかけ)に出(で)るやうな腸(はらわた)の腐(くさ)つたのではないと威張(ゐば)つたに、五日(いつか)とたゝずに兜(かぶと)をぬがなければ成(な)らないのであらう、そんな嘘(うそ)つ吐(つ)きの、ごまかしの、慾(よく)の深(ふか)いお前(まへ)さんを姉(ねえ)さん同樣(どうやう)に思(おも)つて居(ゐ)たが口惜(くちを)しい、もうお京(きやう)さんお前(まへ)には逢(あ)はないよ、何(ど)うしてもお前(まへ)には逢(あ)はないよ、長々(なが/\)御世話(おせわ)さま此處(こゝ)からお禮(れい)を申(まを)します、人(ひと)をつけ、もう誰(だれ)の事(こと)も當(あ)てにするものか、左樣(さやう)なら、と言(い)つて立(たち)あがり沓(くつ)ぬぎの草履(ざうり)下駄(げた)足(あし)に引(ひき)かくるを、あれ吉(きつ)ちやんそれはお前(まへ)勘違(かんちが)ひだ、何(なに)も私(わたし)が此處(こゝ)を離(はな)れるとてお前(まへ)を見捨(みす)てる事(こと)はしない、私(わたし)はほんとに兄弟(きやうだい)とばかり思(おも)ふのだもの其樣(そん)な愛想(あいそ)づかしは酷(ひど)からう、と後(うしろ)から羽(は)がひじめに抱(だ)き止(と)めて、氣(き)の早(はや)い子(こ)だねとお京(きやう)の諭(さと)せば、そんならお妾(めかけ)に行(ゆ)くを廢(や)めにしなさるかと振(ふり)かへられて、誰(だ)れも願(ねが)ふて行(ゆ)く處(ところ)では無(な)いけれど、私(わたし)は何(ど)うしても斯(か)うと決心(けつしん)して居(ゐ)るのだからそれは折角(せつかく)だけれど肯(きか)れないよと言(い)ふに、吉(きち)は涙(なみだ)の眼(め)に見(み)つめて、お京(きやう)さん後生(ごしやう)だから此肩(こゝ)の手(て)を放(はな)しておくんなさい...
樋口一葉 「わかれ道」
...手際よく顔付きだけはごまかしては居たが――それは一層彼にしては堪らない同情のされ方で...
牧野信一 「熱海へ」
...たいてい「酔っぱらい」ばかりでごまかしては下りてゆくが...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...故意にごまかして寄越したか...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...三文文士がこの字で幼稚な読者をごまかし...
宮本百合子 「愛」
...ごまかしで高い薬礼をしぼり取っている...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...そんなごまかしはまっぴらだ」「それはそうだろうが...
山本周五郎 「さぶ」
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