...判断=実行=責任というその責任を回避する心から判断をごまかしておく状態である...
石川啄木 「弓町より」
...「あそこはごまかしが利かぬ」と分って...
上村松園 「わが母を語る」
...ごまかしもまた小さな部分を果たしている...
ジェイムズ・サンヅ・エリオット James Sands Elliott 水上茂樹訳 「ギリシャおよびローマ医学の概観」
...よし今夜こそはと店の金をごまかし血の出るような無理算段して...
太宰治 「新釈諸国噺」
...日本銀行でお札をごまかしたのと...
谷崎潤一郎 「少年」
...ごまかしの八百倍の顕微鏡でのぞいたものをツァイスのでのぞいて見るような心持ちがした...
寺田寅彦 「蓄音機」
...ちゃちなごまかしに出会ったのは初めてです...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 加藤朝鳥訳 「同一事件」
...ごまかしてしまった...
外村繁 「澪標」
...店先にある石鹸(せっけん)の一片でも「ごまかし」て...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...ひたすらごまかしのない道を進むよりほかはない...
永井隆 「この子を残して」
...酒を飮んでうさをごまかしてもゐた...
林芙美子 「崩浪亭主人」
...もう私なんぞの名前なんてどうでもよろしいやうなもので……」と言葉巧みにごまかしたが...
牧野信一 「鬼涙村」
...うまく其辺でごまかしてまいて了ひたいやうな狡い謀みも起らないでもなかつた...
牧野信一 「坂道の孤独参昧」
...ごまかしも安易も妥協もない...
村山俊太郎 「国分一太郎君の仕事」
...元来わたしは小細工やごまかしの敵である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...ごまかしのない答えがあるだろうか...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...「おらあ、それをいのちに生きて来た」と重吉は云った、「身についた能の、高い低いはしようがねえ、けれども、低かろうと、高かろうと、精いっぱい力いっぱい、ごまかしのない、嘘いつわりのない仕事をする、おらあ、それだけを守り本尊にしてやって来た、ところが、それが間違いだっていうんだ、時勢が変った、そんな仕事はいまの世間にゃあ通用しねえ、そんなことをしていちゃあ、女房子が可哀そうだっていうんだ」重吉は顔をあげ、唇をゆがめながら、少し意地悪な調子で云った、「いまは流行が第一の世の中だ、めさきが変っていて安ければ客は買う、一年も使ってこわれるかあきるかすれば、また新しいのを買うだろう、それが当世だ、しょせん火鉢は火鉢だって」「おめえ、どう思う」と重吉は喜助を見た、「そんなこっていいと思うか、みんなが流行第一、売れるからいい、儲かるからいいで、まに合せみたような仕事ばかりして、それで世の中がまっとうにゆくと思うか、――それぁ、いまのまに合う、そういう仕事をすれぁ、金は儲かるかもしれねえ、現におめえも知ってるとおり、檜物町も金六町も店を張って、金も残したし世間から立てられるようにもなった、それはそれでいいんだ、あの二人はそうしてえんだから、それでいいんだ、――おめえ、金六町と檜物町を知ってるか」「それぁ、そのくらいのことはね、親方」と喜助はあいそ笑いをした、「ま一つ、お酌しましょう」重吉は盃をみつめた...
山本周五郎 「ちゃん」
...瓦版屋はずいぶんあるが、ごまかしでない、本当の記事で売れている店はごく僅かなものだ...
山本周五郎 「へちまの木」
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