...その右の顳(こめかみ)のへんから生々しい色の血が幾条にもなって流れていた...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...顳(こめかみ)の筋の動くのがいたましく目立つて見える...
高濱虚子 「俳諧師」
...言下に右の蟀谷(こめかみ)へピストルをあてゝ自殺をした『罪と罰』の中の Svidrigailoff のように...
谷崎潤一郎 「恐怖」
...誰かゞ双方の蟀谷(こめかみ)をほてった手で抑えて居るように感じた...
谷崎潤一郎 「The Affair of Two Watches」
...顳(こめかみ)に即効紙(そっこうし)をはって...
田山花袋 「田舎教師」
...それから後に気を付けて見ると同年輩の友人の中の誰彼の額やこめかみにも...
寺田寅彦 「厄年と etc.」
...劔(つるぎ)を揮ひこめかみを衝けば堅固の兵車より呻を揚げてさかさまに...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...ぶっつかる火の風はじける火の粉の闇で金いろの子供の瞳燃える体灼(や)ける咽喉(のど)どっと崩折(くずお)れて腕めりこんで肩おお もうすすめぬ暗いひとりの底こめかみの轟音が急に遠のきああどうしたことどうしてわたしは道ばたのこんなところでおまえからもはなれし...
峠三吉 「原爆詩集」
...その顳(こめかみ)のあたりに蒼白い筋が浮いて...
豊島与志雄 「好意」
...こめかみのあたりが脹(ふく)れあがる気がし...
ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 「死刑囚最後の日」
...それに覆(おお)われてる顳(こめかみ)と骨だった金色の額(ひたい)...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...太くせり出したこめかみの血管――そんなものが...
直木三十五 「ロボットとベッドの重量」
...蝶蝶のやうに飛びあがり飛びくだるお手玉といつしよにおちやんの顔がうなづくたんびに紅白だんだらに染めた簪の総(ふさ)が蟀谷(こめかみ)のあたりにはらはらとみだれる...
中勘助 「銀の匙」
...こめかみ動脈の出血が依然止まらず...
永井隆 「長崎の鐘」
...こめかみへ吹矢が突っ立っていたんだってネ」「過ちで落ちるような太夫じゃないよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...大きな眼の中から押し出すように涙があふれ出て来て眥(めじり)から顳(こめかみ)のほうへゆっくりと下ってゆく...
久生十蘭 「キャラコさん」
...カルデラの左こめかみに...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...こめかみに膨(ふく)れさせ...
吉川英治 「私本太平記」
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