...または路傍に笑みこぼれた小さな草花を見て...
薄田泣菫 「独楽園」
...まゝよ法衣は汗で朽ちた・ゆつくり歩かう萩がこぼれる訂正二句酔うてこほろぎと寝てゐたよ大地したしう夜を明かしたり波の音昨夜は榎原神社に参詣し...
種田山頭火 「行乞記」
...□酔ひどれはうたふ――(アル中患者の句帖から)――・酔ひざめの花がこぼれるこぼれる彼が彼女にだまされた星のまたたくよ・さうろうとして酔ひどれはうたふ炎天・ふと酔ひざめの顔があるバケツの水アルコールがユウウツがわたしがさまよふ・ぐつたりよこたはるアスフアルトのほとぼりもいつしかあかるくちかづいてくる太陽・酔ひきれない雲の峰くづれてしまへ七月二十四日晴...
種田山頭火 「其中日記」
...よう燃える火で私ひとりで大きな雪がふりだして一人いたづらに寒うしてよごれた手もう暮れたか火でも焚かうかいちにち花がこぼれてひとり雪あしたあるだけの米を粥にしてをくひとりの火の燃えさかりゆくをこれらの句は...
種田山頭火 「三八九雑記」
...「こぼれ」という三字が五回...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...庭の方まで少し漆喰(しっくい)がこぼれていましたよ」「それが天罰と言うものだよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...血曇りも刃こぼれもありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...星がラッパを吹いている突きさしたら血が吹きこぼれそうだ破れ靴のように捨てられた白いベンチの上に私はまるで淫売婦のような姿体で無数の星の冷たさを愛している朝になればあんな空の花(ほし)は消えてしまうじゃないか誰でもいゝ!思想も哲学もけいべつしてしまった白いベンチの女の上に臭い接吻でも浴びせてくれ一つの現実はしばし飢えを満たしてくれますからね...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...こぼれ初((そ))めぬる涙...
樋口一葉 「琴の音」
...其際(そのきは)までも涙(なみだ)がこぼれて忘(わす)れかねた人(ひと)...
樋口一葉 「十三夜」
...膝(ひざ)にこぼれて怪(あや)しう思(おも)はれぬ...
樋口一葉 「われから」
...危く涙がこぼれさうな気がした...
牧野信一 「熱海へ」
...涙さへこぼれた...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...雌魚のお腹を一寸きると卵がこぼれ出る...
正木不如丘 「釣十二ヶ月」
...その水がステージの上にこぼれて...
三浦環 「お蝶夫人」
...くちおしい気持ちが静められなくて涙までもこぼれてくる不体裁さに恥じられもして...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
......
森川義信 「季節抄」
...情のうて涙がこぼれまする事ばかり……...
夢野久作 「名娼満月」
便利!手書き漢字入力検索