...「この野郎また捕つてきやがつた...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...この野郎が恋しいとって...
泉鏡花 「海城発電」
...「この野郎!」と...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...この野郎と叫んで...
太宰治 「新釈諸国噺」
...それはこの野郎があんまり毛唐の真似をして日本人のくせに無理に作って亜米利加(アメリカ)人のような鼻にかかった本場ものの英語を出そうとしているので...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...この野郎と、つかまえるつもりで、作さんが向っていくと、先方では早くも気がついて、つと横町へ切れこんだかと思うまに、歩いてるのか駆けだしてるのか、足音もさせないで、それが風のような早さで、消えてなくなってしまったのでした...
豊島与志雄 「千代次の驚き」
...「この野郎、俺を見損(みそこ)なったな、俺は役割だ、城内の役割だぞ」「役割だか薪割(まきわり)だか知らねえが、あんまりふざけた野郎だ」木戸番と役割とがここで組打ちを始めてしまうと、最初からこの近いところにいた口上言いや出方(でかた)や世話役の連中、これもあんまり市五郎が横柄(おうへい)で乱暴だから飛んで来て、「おい、役割さんだというじゃないか、役割さんを撲ってはいけねえ」仲裁するふりをしてポカリと撲ります...
中里介山 「大菩薩峠」
...この野郎も、おっちょこちょいのくせに、いいかげん図々しいが、それでも気がとがめるものがあると見えて、あらかじめ雲行きをうかがってから上り込むと、「まあ、こっちへいらっしゃい」お梅は火鉢の前へ座蒲団をすすめます...
中里介山 「大菩薩峠」
...この野郎がもたらすものだと軽蔑しながらも...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ヤイ、この野郎、お嬢様を水責めなんぞにしやがって、その上この家を乗っ取ろうてんだろう...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「この野郎は何べん逃げ出そうとしたかわかりませんよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この野郎は容易に口を割るめえ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...グルリと一と廻りして、丁度裏の路地へ出ると、「やい、この野郎、何を隱すんだ」「何んにも隱しやしません」少し先に、豊年坊主と八五郎が、ドブ板の上で揉(も)み合つてゐるのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...女の子の好くようなもン厭だ」「おンやこの野郎生意気だぞ! そいじゃ何がいいンだ?」「あのね...
林芙美子 「泣虫小僧」
...「この野郎、きさまの電気のおかげで、おいらのオリザ、みんな倒れてしまったぞ...
宮沢賢治 「グスコーブドリの伝記」
...「こんなことをしてなんになるんだ」と得石は静かに云った、「そっちにはなにか望みがあるんだろう、私を痛めつけるより、肝心な話をするほうが早くはないのか」「しぶてえ野郎だな」とばかに太い声の男が云った、「なんでも指の先か小銭で片がつくと思ってやがる、この野郎、本当に片輪者にでもしてくれざあならねえかもしれねえぜ」「それならおいらの役だ」とべつの男が云った、「どっちをやる、手か、足か」「待ってくれ」と得石は片手をあげた、「そんな乱暴なことはやめて、私にわかるように話してくれ、いったいどういうわけでこんなことをするのか、私がどうすればいいのか、それを聞かせてくれ」「自分で思い当らねえのか」太い声の男がそう云って、さも汚ならしそうに睡を吐いた、「浮気な女房や後家さんに、けがらわしい治療をして高い薬料を取り、その金で料理茶屋を始め、豊島屋を始め、おまけに高利の日済(ひな)し貸(が)しまでやって、貧乏人の血を吸い取りゃあがる、この界隈(かいわい)の長屋だけでも、うぬのために泣いている者が何十人いるかしれねえ、いいか、それも日済し貸しが本業なら、憎まれるのを看板でやってるんだからまだいい、てめえは仮にも医者だぞ」男はそこで赤くなった、「どんな汚ならしい治療をするにもせよ業態からいえば医者だ、そいつが自分は蔭に隠れて、高利の日済しで貧乏人の血肉をごっそり絞ってやがる、そんなちくしょうがお膝元でうろうろするのを、こちとらあ黙って見ちゃあいられねえんだ」「うぬのような人でなしはな」とべつの男が云った、「いっそ叩っ殺して大川へでも放りこみてえところだ、だがそうすりゃあこっちも兇状持(きょうじょうも)ちになるから、このさきうろうろできねえように片輪にして、それで勘弁してやろうというわけだ、これで文句はねえだろう」「わかりました、よくわかりました」得石は爪で顔の泥を落しながら、神妙に頭をさげて云った、「そういうことならおまえさんたちの云うようにしよう、金で済むことなら金を出そうし、日済し貸しをやめろなら今日にでもやめよう、云うとおりにするからどうか乱暴なことだけはしないでくれ」「金で済むならだと」太い声の男が喉いっぱいに喚いた、「まだそんなよめえ言をぬかしゃあがるのか、野郎」「やっちまえ」とべつの男が叫んだ...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...ゆすりかたりのように扱うのか」「この野郎」と云って若い者の一人が栄二の横顔を殴った...
山本周五郎 「さぶ」
...『この野郎っ』一つの杖は...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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