...またお話を途中で遮(さえぎ)ったり……まことに我儘勝手のようですが……どうかこの程度で……もうこれ以上のことは伺わぬでも充分私にも腑に落ちましたから」「…………」「ただ貴方に一言お伺いしておきたいのは」と私は吃(ども)り吃りもう一度首筋のあたりを拭いた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...夫がこの程度であってくれたら...
谷崎潤一郎 「鍵」
...私の思考実験はまだわずかにこの程度までしか進んでいない...
寺田寅彦 「一つの思考実験」
...ただルクレチウスがまだおそらく一度も日本の科学者の間にこの程度にすら紹介されなかったという事である...
寺田寅彦 「ルクレチウスと科学」
...併しこの程度の売笑性ならば寧ろ社交性や服飾道徳にさえ数えられるべきもので...
戸坂潤 「社会時評」
...この程度で働けないこともあるまいさ」「君だからいいけれど...
中里介山 「大菩薩峠」
...平常不用意に使われている言葉などは大抵よく考えてみるとこの程度の厄介なものばかりのようにも思える...
中谷宇吉郎 「粉雪」
...前々から実験室の中ではこの程度の指導振りにはもう馴れているので...
中谷宇吉郎 「霜柱と白粉の話」
...まずこの程度のものというところで...
久生十蘭 「ノア」
...この程度の人間らしさに作者は人間を見たつもりでゐるのかと言つてゐるのである...
堀辰雄 「芥川龍之介論」
...この程度の話でないと私には無理だつた...
牧野信一 「環魚洞風景」
...それだけのことでもこの程度の修業年月で引き受けさせられるのは前例のない速さだとされた...
正岡容 「小説 圓朝」
...舞臺監督もなかつたらしく、たゞこの戯曲の飜譯語を、日常の言葉通りに口に出してゐるだけのやうで、これは演劇以前であつて、この程度なら、だれでもやれさうである...
正宗白鳥 「心の故郷」
...こんなにすらりと恢復しつつあるのに然もこの程度であるという意味なのよ...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...薬はこの程度で充分な休みと一日の間の適当な用事の配分とできっといいでしょう...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...しかもこの程度の連中は...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...この程度にとどめてゐるものなのだ...
吉川英治 「折々の記」
...まず、彼奴(きゃつ)の悪智も、この程度ならば、底はおよそ測(はか)られる...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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