...――もうこの先を書く勇気がありません...
海野十三 「怪塔王」
...「さうですか、此方は木があるんですから涼しいでせう、」「涼しうございますよ、おあがりなさいまし、芝からいらしたなら、お暑かつたでせう、」「今日は馬鹿に暑かつたですよ、僕はこの先の、山木さんの所へ行くもんですがね、」「あ、お屋敷でございますか、」「さうです、党のことでときどきやつて来ますがね、この路を通るのははじめてですよ、」「さうでございませう、此所はちよと這入つてますから、それでもお屋敷へゐらつしやる書生さんが、よくお通りになりますよ、店をやつてます時は、お酒を飲んで行く書生さんがありましたよ、」登はふとこの家は茶店を止めてゐても、酒ぐらいは置いてあつて、知合の書生などには酒を飲ましてゐるらしいなと思つた...
田中貢太郎 「雑木林の中」
...よくやつてくれます』この先生のお言葉に...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...男はお千代が今年三十六になってなおこのような強い魅惑を持っているのを確(たしか)めると、まだこの先四、五年稼いで行けない事はないと、何となく心丈夫な気もする...
永井荷風 「ひかげの花」
...――百両と二度目の強請(ゆすり)をやるようではこの先放っておいてはどんな事になるかわかりません」「…………」こうなると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「へツ」「隱すな、亭主の仙八を殺したのは、天童太郎に間違ひない、證據はこれ/\とお前は本當に話したに違ひあるまい」「相濟みません、――ツイ一昨日の晩でした、私とつばめと仲よく話して居るところを、母親のお高さんに見つけられ、散々油を絞(しぼ)られた上、お前は亭主の仙八を、誰が殺したか、知つてるに違ひない、それを言はなきや、この先、たつた一と言も娘のつばめに口をきいて貰ひ度くない、と言はれて、ツイ、三年の間私の胸一つにしまひ込んで置いた疑ひの數々を打ち開けてしまひました」「フーム、それは大變なことだ、今日は、仙八の三年目の祥月(しやうつき)命日だと言つたな」「お高さんもそれをくり返して言つて居ました」「ところで、お前が此處へ來る迄に、變つたことは無かつたか」「何んにもありません、久兵衞の野郎は、急に小遣が出來たと言つて、吉原(なか)へ冷かしに出かけた樣ですが――そのお小遣は、お高さんから借りた樣子でした」「つばめの容體は」「もう大丈夫だといふことで」「親方の天童太郎のところでは、おかみのお崎さんは、女猩々(めしやう/″\)とも言はれる位で、すつかり醉つ拂つて管を卷いて居りましたし」「お幾とか言つた、下女代りの女は?」「見えなかつたやうです、――さう/\、それから珍らしい事に白痴(はくち)の與吉が、何んか手紙か何んかを持つて、壁隣の天童太郎親方のところへ行く樣子でした」「それは容易ならぬことだ、行つて見よう、八」「何處へ行くんです」まご/\する八五郎を引立てるやうに、平次と彌太八は、もう一度兩國へ引つ返しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...なにしろ、あんな口下手なベルナアルさんのことですから、さもなければ、この先また、つまらないおしゃべりのためにさんざんひどい目に逢わなくてはなりませんのですから...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...この先生だけはあふのもゾツとするほどいやだつた...
平山千代子 「転校」
...「この先お前はひとりで...
牧野信一 「父の百ヶ日前後」
...「こんなものを持つてNさん達とこの先の汐干に行つたことがあるわね...
牧野信一 「鶴がゐた家」
...(然しこれは博士とすれば割引ですから苦情は言えません)この先生は親切は親切ですが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そこにいるんだな」「この先の筑波屋(つくばや)という家の...
吉川英治 「江戸三国志」
...かえってこの先において織田家を恨むことになりはしないだろうか」官兵衛の信義と...
吉川英治 「黒田如水」
...この先の蟠桃河(ばんとうが)が落花で紅くなるほどだったし...
吉川英治 「三国志」
...お酒のお代のほうは」「この先の寺の横丁を曲がると...
吉川英治 「三国志」
...この先の宿題なのだ...
吉川英治 「新書太閤記」
...どこから来た」「この先の...
吉川英治 「新・水滸伝」
...幼少に受けたこの先人の遺訓(いくん)があった事は疑いもないことだ...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
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