...けちな地方新聞のことだ」と...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...大きなお前さんとは比べものにならないほど、至つて小さな、どこに見所もない、けちな虫だが、でも、私はお前さんのやうに唯もうやきもきと自分ひとりのことばかりにかまけてはゐないぜ...
薄田泣菫 「独楽園」
...あの万屋(よろずや)のけちな大旦那に見込まれたほどの男である...
太宰治 「新釈諸国噺」
...まるで素人芝居のけちな脚本にでもあるようなこんな馬鹿げた結末を告げたなどとは...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...そのようなけちな不正はやらない...
豊島与志雄 「自由人」
...けちな闇ブローカーらしく見えました...
豊島与志雄 「水甕」
...けちな巾着切じゃござんせん――じゃあ...
直木三十五 「南国太平記」
...人にほどこしを澁つてゐるくせに、人からはふんだんに崇拜されようとする、けちな官吏や、軍人が、この戰爭を主材として、田舍へ入りこんで來れば來るほど、S町ははつきりと、妙な形式をつくりあげてしまつた...
林芙美子 「雪の町」
...けちな歳(とし)の市にかかる見世物小屋へ現われるわけにはいかない...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「断食芸人」
...私に仕返しをするというけちな行為をしたのね! こうなったら...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...あたしがけちなんだと思っている)キャラコさんは...
久生十蘭 「キャラコさん」
...また或る人はずっとけちな望みしか抱いておらず...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...ソバケーヴィッチはそんなけちなものには眼もくれず例の蝶鮫にしがみついて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...そんなけちな了見はこれっぽちもございません」と暗に助五郎の来訪を迷惑がるような口吻を洩らして...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...けちな男だなあ」さてとうとう銀貨(ぎんか)が一枚(まい)おく深(ふか)いかくしの中からほり出されて...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...しかしこんな、けちな悪意では、ニイチェ主義の現代人にもなられまい...
森鴎外 「あそび」
...)こんなにけちな座敷の飾を誰がした...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...けちな女はよく見かけるけれど...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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