...だから私はかかる比較論に来ると口をつぐむ外はない...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...口をむぐむぐとさして合点(がってん)々々をしたから...
泉鏡花 「悪獣篇」
...ゾーッと総毛立つ快感に涙ぐむことがあった...
江戸川乱歩 「探偵小説の「謎」」
...鶯(うぐいす)や洞然(どうぜん)として昼霞(ひるがすみ)大正十五年二(三?)月芽ぐむなる大樹の幹に耳を寄せ大正十五年三月十六日 発行所例会...
高浜虚子 「五百句」
...・芽ぶかうとする柿の老木のいかめしく・芽ぐむ梨の...
種田山頭火 「其中日記」
...又さう言ふ父の心持が推(お)しはかられて自然と涙ぐむのである...
田畑修一郎 「鳥羽家の子供」
...一瞬、危く涙ぐむほど、私は有難かつた...
外村繁 「打出の小槌」
...荒廃の中に蔵されてる芽ぐむ力といったようなものに...
豊島与志雄 「二つの途」
...其の側女日ごろ野辺の若艸つのぐむことをのみ明暮の楽みとなせし女子なりければ...
※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]上漁史 「土用干ノ記」
...花に涙ぐむことを...
原民喜 「鎮魂歌」
...常は何とも思はぬ島田が今日ばかりは恥かしいと夕ぐれの鏡の前に涕(なみだ)ぐむもあるべし...
樋口一葉 「にごりえ」
...一言の言葉も発せずに間もなく涙ぐむと...
牧野信一 「秋晴れの日」
...ただこの一の色をかほど扱いあぐむ心根を不便(ふびん)がり...
南方熊楠 「十二支考」
...林は私の廊下であり花壇は私の絨毯であり耳を澄ませば鳥の音や木の葉のそよぐむかふから遠い自動車も聞えてくる...
三好達治 「測量船拾遺」
...世間で別々に立っている時には競争心というようなものも双方の心に芽ぐむのであるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...T「それに引換えお前は立派な堅気な娘さん」と言って涙ぐむ...
山中貞雄 「恋と十手と巾着切」
...そんな心配は決してしないで下さい」彼は涙ぐむような眼でこう云った...
山本周五郎 「おばな沢」
...五歳(いつゝ)に満たぬアウギユスト、みづから恃(たの)むその性(さが)を母はよしやと笑(ゑ)みながら、はた涙ぐむ、人知れず...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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