...秋近し!電燈の球(たま)のぬくもりのさはれば指の皮膚(ひふ)に親しき...
石川啄木 「悲しき玩具」
...平生(へいぜい)多弁(たべん)の老人はかえって顔に不安(ふあん)沈鬱(ちんうつ)のくもりを宿(やど)し...
伊藤左千夫 「告げ人」
...西日をうけた河原のところに玉石を混ぜた砂礫が堆(うず)高くもりあがっていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...松風に騒ぎとぶなり水馬(みずすまし)昭和二年七月なつかしきあやめの水の行方(ゆくえ)かなよりそひて静(しずか)なるかなかきつばた昭和二年七月大夕立(おおゆだち)来るらし由布(ゆふ)のかきくもり昭和二年七月 大毎...
高浜虚子 「五百句」
...只何となく空の気色打くもりたるやうなりしに...
太宰治 「津軽」
...章一は女の眼の下の曇(くもり)の深い肉の落ちた顔が気になっていた...
田中貢太郎 「一握の髪の毛」
...五月一日くもり、だん/\晴れて、さつきの微風が吹く、雨後の風景のみづ/\しさを見よ...
種田山頭火 「其中日記」
...足袋にはまだぬくもりが殘つて居る...
長塚節 「佐渡が島」
...朝に穴のうちに火を焚けばぬくもり終日去らず...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...皮膚はかぐはしくぬくもりきたり...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...その空さへもうすくもり...
萩原朔太郎 「冬を待つひと」
...日頃(ひごろ)くもりし胸(むね)の鏡(かゞみ)すゞしき物語(ものがたり)に晴(はら)さばやとばかり...
一葉女史 「たま※[#「ころもへん+攀」、U+897B]」
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広海大治 「サガレンの浮浪者」
...ちっとも曇(くもり)のない柿の実の光と...
水上滝太郎 「果樹」
...我知らず闘っていた言葉の世界と放れた地道なぬくもりを感じて来た...
横光利一 「旅愁」
...「たれだッ」行宮の外の柵守(さくもり)らしい...
吉川英治 「私本太平記」
...柵守(さくもり)の衆だな」わざわざ道へ出て立ちふさがって見せたのは...
吉川英治 「私本太平記」
...干し拡げている小豆(あずき)の中で、子を抱いて、弱々しい皮膚を陽なたに曝(さら)していたが、「おお?」振り顧(かえ)って、変ったわが子の姿を、突然そこに見ると、悲しいのか欣しいのか、彼女の顔に、一瞬、つよい感情がつきぬけて、眼は涙にくもり、顔じゅうの筋はぴくぴくふるえた...
吉川英治 「新書太閤記」
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