...置き余る露の珠が東雲の光と冷かな接吻(くちづけ)をして居たのだ...
石川啄木 「葬列」
...いざくちづけむ君が面(おも)...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...そなたの心はわかれのくちづけに溶(と)ける...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...卯波(うなみ)たゆたにくちづけし深日(ふけひ)の浦をおもひいでぬ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...濃青(こあを)の瞳子(ひとみ)ひたひたのみ空と海の接吻(くちづけ)を...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...その墓石に接吻(くちづけ)をして...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...あはれ乙女は悲しげにわが接吻(くちづけ)を許しけり...
永井壮吉 「偏奇館吟草」
...眩いばかり雪降り積つた緑の夜を接唇(くちづけ)は海の上にゆらりゆらりと立昇り...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...唇にうかぶ唾液か接唇((くちづけ))を求める慾かともすればそのうたは杜切れたりする...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...――接唇(くちづけ)してくれと云はんばかりに――小さな声で...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
......
萩原朔太郎 「短歌」
...交々その翼に接吻(くちづけ)を贈つた...
牧野信一 「南風譜」
...その口附(くちづけ)よ...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
......
山村暮鳥 「或る淫売婦におくる詩」
...五月礼讃(らいさん)五月(ごぐわつ)は好(よ)い月、花の月、芽の月、香(か)の月、色(いろ)の月、ポプラ、マロニエ、プラタアヌ、つつじ、芍薬(しやくやく)、藤(ふぢ)、蘇枋(すはう)、リラ、チユウリツプ、罌粟(けし)の月、女の服のかろがろと薄くなる月、恋の月、巻冠(まきかんむり)に矢を背負ひ、葵(あふひ)をかざす京人(きやうびと)が馬競(うまくら)べする祭月(まつりづき)、巴里(パリイ)の街の少女等(をとめら)が花の祭に美(うつ)くしい貴(あて)な女王(ぢよわう)を選ぶ月、わたしのことを云(い)ふならばシベリアを行(ゆ)き、独逸(ドイツ)行(ゆ)き、君を慕うてはるばるとその巴里(パリイ)まで著(つ)いた月、菖蒲(あやめ)の太刀(たち)と幟(のぼり)とで去年うまれた四男(よなん)目のアウギユストをば祝ふ月、狭い書斎の窓ごしに明るい空と棕櫚(しゆろ)の木が馬来(マレエ)の島を想(おも)はせる微風(そよかぜ)の月、青い月、プラチナ色(いろ)の雲の月、蜜蜂(みつばち)の月、蝶(てふ)の月、蟻(あり)も蛾(が)となり、金糸雀(かなりや)も卵を抱(いだ)く生(うみ)の月、何(なに)やら物に誘(そゝ)られる官能の月、肉の月、ヴウヴレエ酒の、香料の、踊(をどり)の、楽(がく)の、歌の月、わたしを中に万物(ばんぶつ)が堅く抱きしめ、縺(もつ)れ合ひ、呻(うめ)き、くちづけ、汗をかく太陽の月、青海(あをうみ)の、森の、公園(パルク)の、噴水の、庭の、屋前(テラス)の、離亭(ちん)の月、やれ来た、五月(ごぐわつ)、麦藁(むぎわら)で細い薄手(うすで)の硝杯(こつぷ)からレモン水(すゐ)をば吸ふやうなあまい眩暈(めまひ)を投げに来た...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...これは「水無月(みなづき)」が真夏の愛を地に送る※(あつ)いくちづけ...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...狂ほしくなれる我は君が手の上にはげしき接吻(くちづけ)を押して...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...いつぞやの晩はむなしい交唇(くちづけ)だけで別れたこと...
吉川英治 「新・水滸伝」
便利!手書き漢字入力検索