...美濃紙(みのがみ)のくすぶり返った置き行燈(あんどん)には太い筆つきで相模屋(さがみや)と書いてあった...
有島武郎 「或る女」
...でもまあほんとうにお珍しい……ただいまこちらのほうにお住まいでございますの?」「住まうというほどもない……くすぶりこんでいますよハヽヽヽ」と木部はうつろに笑って...
有島武郎 「或る女」
...これもくすぶり込んでゐるらしい一人の客が...
有島武郎 「骨」
...ホームズをくすぶり立つ炉辺の椅子に残して下がった...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「緋のエチュード」
...火はくすぶり続ける...
豊島与志雄 「ものの影」
...それから今日どこの田舎家でも行って見ればわかる事であるが家中がくすぶりきって真黒くなって居る...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...うぢ/\と、内攻し、くすぶり、我と我が身を噛み、いぢけ果て、それで猶、うすつぺらな犬儒主義(シニシズム)だけは殘してゐる...
中島敦 「かめれおん日記」
......
中野鈴子 「わたしの正月」
...彼の胸底にくすぶりつづけていた...
中村地平 「霧の蕃社」
...モーナルーダオの内地人に対する胸底のくすぶりに...
中村地平 「霧の蕃社」
...半分くすぶりながら引ずり出されて来た...
浜尾四郎 「殺人狂の話」
...三ヵ月間くらいくすぶりつづけたあげく...
秘田余四郎 「字幕閑話」
...書類の山でくすぶり...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「ギルレイ」
...おの/\の工場の底にくすぶりこもうとする戦いの火そして絶ち切られた獄中で敢死の決意と...
槇村浩 「同志古味峯次郎」
...場末の古本屋の親爺によく見られる夏冬ともにくすぶり返って汚い襟巻を首へ巻きつけていそうな貧相な顔の麦松は変屈者らしく...
正岡容 「寄席」
...第四 南京豆台所といえば黒くくすぶりてむさ苦しきように聞ゆれどもこの家の台所は妻君が自慢顔に客を連れ込むほどありて平生(へいぜい)の綺麗好(きれいず)きさこそと思われ...
村井弦斎 「食道楽」
...この家は煤(すす)だらけにくすぶり返ッて...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...焼け落ちた建物はまだ赤々とくすぶり...
山本周五郎 「風流太平記」
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