...風は門の柱と柱との間を、夕闇と共に遠慮なく、吹きぬける...
芥川龍之介 「羅生門」
...日本海から内浦湾(うちうらわん)に吹きぬける西風が...
有島武郎 「カインの末裔」
...あつい層を下へつきぬけなければ...
海野十三 「火星兵団」
...ヒューッと呻り声をあげて廂(ひさし)を吹きぬけてゆくのが聞えた...
海野十三 「蠅男」
...翌(あく)る朝起きぬけに義士の引揚(ひきあげ)を見て...
薄田泣菫 「茶話」
...・酔へばやたらに人のこひしい星がまたゝいてゐる裏からつめたく藪風のふきぬけてゆく・わかれてもどる木の実をひらふ・秋あつくせりうりがはじまつた・月に咲けるはそばのはな・寝るよりほかない月を見てゐる(放哉坊の句とは別な味があると思ふが)昨日の買物(此言葉はよい)...
種田山頭火 「其中日記」
...起きぬけの庸三は顔の筋肉の硬(こわ)ばりが釈(と)れず...
徳田秋声 「仮装人物」
...時代的懐疑をつきぬけ...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...それをつきぬけて晴々とした所へ出なければ...
豊島与志雄 「反抗」
...それを突きぬけて少し行くと...
豊島与志雄 「道連」
...吹きぬけの窓のそばにある池――仏蘭西でバッサンといっているものだが...
久生十蘭 「泡沫の記」
...氷雪を突きぬけて...
久生十蘭 「南極記」
...潮騒のような音をたてて林の中を吹きぬけてゆく...
久生十蘭 「肌色の月」
...メロディとともにその部屋をふきぬけて...
「朝の風」
...起きぬけに汗ばんだ体どうせふくのだから...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...朝起きぬけに嘔吐(おうと)したりするのが眼につきだした...
山本周五郎 「季節のない街」
...佛教をつきぬけた人生哲學だから...
吉川英治 「折々の記」
...相済みません」「今夜あ、間違わねえでくれ」「幾ら抛りこんで来ますか」「やっぱり、二十両でいい」「承知しました」「頼んだぜ」出る時は、店廊下を、突きぬけて、大戸のしとみ障子を開け、田所町の通りへ、ぶらんと、懐手(ふところで)で、歩き出した...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
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