...友人の檀一雄などに、食通というのは、大食いの事をいうのだと真面目(まじめ)な顔をして教えて、おでんや等で、豆腐、がんもどき、大根、また豆腐というような順序で際限も無く食べて見せると、檀君は眼を丸くして、君は余程の食通だねえ、と言って感服したものであった...
太宰治 「食通」
...「烏賊(いか)があるなら、烏賊をもらおうか」「烏賊はおあいにくさま、がんもどきならありますが」「じゃ、がんもどきと、はんぺんにしてもらおう」老人が鍋の中からがんもどきとはんぺんを挟んで山西の前へ出し、それから盃(さかずき)も出したところで、もうお燗が出来た...
田中貢太郎 「水魔」
...がんもどきと怒鳴(どな)って...
夏目漱石 「二百十日」
...おでん屋は皿ほどもあるがんもどきをつまみあげている...
林芙美子 「新版 放浪記」
...天皇さまに冷酒とがんもどきのおでんをさしあげたら...
林芙美子 「新版 放浪記」
...丼(どんぶり)いっぱいの御飯にがんもどきの煮つけ一皿...
林芙美子 「新版 放浪記」
...がんもどきの煮つけと冷飯...
林芙美子 「新版 放浪記」
...がんもどきのたぐいをつっついていたのであったが...
林芙美子 「泣虫小僧」
...遮莫(さわれ)、その小亀一座にはがんもどきと仇名打たれし老爺あり、顔一面の大あばた、上州訛りの吃々(きつきつ)と不器用すぎておかしかりしが、ひととせ、このがんもどき、小亀社中と晩春早夏の花川戸東橋亭の昼席――一人高座の百面相に、その頃巷間の噂となりし小名木川の首無し事件を演じたりけり...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...がんもどきかつ子は十五歳になる...
山本周五郎 「季節のない街」
...まるで踏んつぶしたがんもどきだね」かつ子は無表情にかなえを見返し...
山本周五郎 「季節のない街」
...「あんな踏んづぶしたがんもどきみたいな子...
山本周五郎 「季節のない街」
...ことに子供たちはかつ子のことをがんもどきと呼ぶようになった...
山本周五郎 「季節のない街」
...そしてかつ子を「踏んづぶしたがんもどき」と呼び...
山本周五郎 「季節のない街」
...――そのかつ子をここの人たちは「がんもどき」と呼んで嘲笑する...
山本周五郎 「季節のない街」
...「がんもどき」と云うくらい...
山本周五郎 「季節のない街」
...かっちゃんはみんなから「がんもどき」とからかわれていたが...
山本周五郎 「季節のない街」
...もうがんもどきとからかうようなことはしなくなった...
山本周五郎 「季節のない街」
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