...抜いて持った簪(かんざし)の...
泉鏡花 「婦系図」
...まるで塔がかんざしを刺したような形に見えた...
海野十三 「火星探険」
...ぼくが可笑(おか)しがって、吹出(ふきだ)すと、あなたも声を立てて、笑いながら、『土佐の高知の、播磨屋(はりまや)橋で、坊(ぼう)さん、簪(かんざし)、買うをみた』と裾(すそ)をひるがえし、活溌(かっぱつ)に、踊りだしました...
田中英光 「オリンポスの果実」
...男も長き簪(かんざし)に髪を結ひたる琉球人の日傘手にして逍遥せしさま日もおのづから長き心地せり...
永井荷風 「桑中喜語」
...現場に日本髪用の簪(かんざし)ピン...
西尾正 「陳情書」
...銀簪(ぎんかんざし)で眼を突いて危ふいところを免(まぬが)れたことがありました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お銀のは手打の銀簪(ぎんかんざし)で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...馬がかんざしを差したよろけながら荷をひく馬一斗も汗を流してただ宿命にひかれてゆく馬たづなに引かれてゆく馬時々白い溜息(ためいき)を吐いてみる誰もみるものはない時々激しい勢でいばりをたれ尻っぺたにむちが来る坂を登る駄馬いったいどこまで歩くのだ無意味に歩く何も考えようがない...
林芙美子 「新版 放浪記」
...霜月の酉(とり)には論なく門前の明地に簪(かんざし)の店を開き...
樋口一葉 「たけくらべ」
...土間に落ちていた花簪(はなかんざし)をひょいと拾って...
山本周五郎 「お美津簪」
...ぷッと煙管(きせる)の吸口(すいくち)に息を鳴らしてかんざしを髪の根へ戻しました...
吉川英治 「江戸三国志」
...玳瑁(たいまい)の櫛(くし)にギヤマンのかんざし...
吉川英治 「江戸三国志」
...かの草簪(くさかんざし)を挿した李鬼(りき)の情婦(おんな)であった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...草簪(くさかんざし)の女などを引っ立てて...
吉川英治 「新・水滸伝」
...蝶花の祭り簪(かんざし)がたくさん挿(さ)してあったが...
吉川英治 「新・水滸伝」
...見るまに笄(こうがい)をぬき簪(かんざし)をとり...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...かんざしは、底の方にキラキラ透いて見えている...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...ところが母は「ありがとうよ」と、お礼をいいながら、「それは、あんたへお駄賃に上げる」と、かんざしは、その者に与えてしまったというのである...
吉川英治 「忘れ残りの記」
便利!手書き漢字入力検索