...妙に赤光(あかびかり)のする球(たま)があった...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...空気の蒸せた黴(かび)臭い例のにおいが室に満ちてる...
伊藤左千夫 「浜菊」
...月光にうかびあがる大海面をふりかえった...
海野十三 「太平洋魔城」
...黴(かび)の生えた写真や...
海野十三 「夜泣き鉄骨」
...インク瓶にまで黴(かび)が生えて薄気味わるい程でしたが...
太宰治 「風の便り」
...浮かび上って宙ぶらりんになった線路の上を...
谷崎潤一郎 「細雪」
...倉庫に特有な黴(かび)の臭(にお)いでもあるけれども...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...その時でもまだ元の教室の部屋は大体昔のままに物置のような形で保存され黴(かび)とほこりと蜘蛛(くも)の囲(い)の支配に任せてあったので従ってこのS先生の手紙もずっとそのままに抽出しの中に永い眠りをつづけていた訳である...
寺田寅彦 「埋もれた漱石伝記資料」
...西洋人には到底考えつかないような新しいアイディアがいくらも浮かびそうなものだと思われるがそうした実例が日本映画のおびただしい作品の中にいっこうに見られないのは残念な事である...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...じわじわと顔が浮かび上がってくるのだ...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「赤毛連盟」
...中低(なかびく)の盤臺面(ばんだいづら)で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...不意にある考えが浮かび...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...(七月二十九日)七十九○夏の長き日を愛すといへる唐のみかどの悟りがほなるにひきかへ我はかび生(お)ふる寝床の上にひねもす夜もすがら同じ天井を見て横たはることのつらさよ...
正岡子規 「病牀六尺」
...それから葡萄酒とかびの匂いのする...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...極めて退屈なかび臭い仕事であった...
山本周五郎 「山彦乙女」
...冷(ひや)りとつめたい手で撫でる様に頬(ほ)に当(あた)る空気が酸(す)えて黴臭(かびくさ)い...
與謝野寛 「蓬生」
...将来天下人(てんかびと)の兆瑞(ちょうずい)がお見えあそばすということ...
吉川英治 「神州天馬侠」
...庭前の大石にあたって色鍋島(いろなべしま)の大花瓶(おおかびん)...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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