...きっとまた殺さないでおくべきかといっていましたよ...
海野十三 「脳の中の麗人」
...そうかといって、別居する勇気もない、みじめな母親を見捨てて行く気には、どうしてもなれないというのだ...
江戸川乱歩 「疑惑」
...かといってまたその初五字がない方がいいかとなるとそれは決してそうだとは申されません...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...家(うち)の者に彼の函書はだれが持って来たかといって聞いたが...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「成仙」
...それかといって、やたらに社員の誰彼を疑うわけにはゆかない...
豊島与志雄 「自由人」
...いかにも泊り込みそうな気合で来て、ふいに外(そ)れてしまったから、主膳も、拍子抜けの気味で、そうかといって、泊り込まれるよりは世話がないから、そのまま門前で、がんりきと別れてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...実際、薩摩屋敷に集まるものの目的と行為は、江戸の市中を脅威したり、愚弄したりするために存在しているような形でありましたが、そうかといって、これを一概に、暴民暴徒の巣のようにいってしまうのは誤りです...
中里介山 「大菩薩峠」
...それでもお銀様は、まだ不足なものがあるように、活(い)け終った草花を、ためつすがめつして、ながめていること暫し、ここといって改めたいところはないが、そうかといって、これだけでは物足りない心持を、どうすることもできないらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...室の主人は、今、腕組みをしている手をほどいてみたが、別段、深い冥想(めいそう)の底から、安祥として、現世の色界(しきかい)に戻って来たという足なみでもなく、そうかといって、退屈しきって、所在なさに、四肢の置き場と、顔面筋肉とを、無意味に変化させてみようというのでもない...
中里介山 「大菩薩峠」
...それかといってあまりにそういう方向にのみ走って...
西田幾多郎 「読書」
...かといって客を怒らせたくもなしといった風情だったのだ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...おれを軽蔑するかといって蹴られ...
久生十蘭 「ノア」
...腹でも切って埓をあけようかといって...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...源氏が隠栖(いんせい)の地に擬している須磨(すま)という所は、昔は相当に家などもあったが、近ごろはさびれて人口も稀薄(きはく)になり、漁夫の住んでいる数もわずかであると源氏は聞いていたが、田舎(いなか)といっても人の多い所で、引き締まりのない隠栖になってしまってはいやであるし、そうかといって、京にあまり遠くては、人には言えぬことではあるが夫人のことが気がかりでならぬであろうしと、煩悶(はんもん)した結果須磨へ行こうと決心した...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そうかといって姫君をこの田舎(いなか)に置いて...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...そのまま後世に残る選集に入れられるのは困るではないかといって止めてもらった...
柳田国男 「故郷七十年」
...そうかといって去ってしまったが...
柳田国男 「年中行事覚書」
...そうかといって草取りの時期にいつまで床についてもいられないので...
山本周五郎 「藪落し」
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