...やさしかった母親の残してくれたかたみの指環も売った...
海野十三 「ふしぎ国探検」
...かたみに人は擁きあひ...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...これは死への退却の最後のかたみなるがゆえに貴い...
中勘助 「母の死」
...お絹の顔をかたみがわりに見渡して...
中里介山 「大菩薩峠」
...子が親の遺身(かたみ)を恋しがるというのは人情だからなあ」と言いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...小さい記念(かたみ)である...
夏目漱石 「虞美人草」
...母の言葉を父の記念(かたみ)のように耳へ受け入れた...
夏目漱石 「こころ」
...おのづと肩身(かたみ)せばまりて朝夕(てうせき)の挨拶(あいさつ)も人(ひと)の目色(めいろ)を見(み)るやうなる情(なさけ)なき思(おも)ひもするを...
樋口一葉 「にごりえ」
...そしてあたしの一生の紀念(かたみ)だわ...
平出修 「瘢痕」
...筐(かたみ)に遺る新聞の数行(すぎょう)に...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...九年)をかたみする意味でそれを此處にそのまま載せて置かうと思ふ...
堀辰雄 「色褪せた書簡箋に」
...身は今旅の旅に在(あ)りながら風雲の念(おも)いなお已(や)み難く頻(しき)りに道祖神にさわがされて霖雨(りんう)の晴間をうかがい草鞋(わらじ)よ脚半(きゃはん)よと身をつくろいつつ一個の袱包(ふくさ)を浮世のかたみに担(にの)うて飄然(ひょうぜん)と大磯の客舎を出でたる後は天下は股の下杖一本が命なり...
正岡子規 「旅の旅の旅」
...二月二十二日に勅使が立ち二十六日に遺物分(かたみわけ)があり...
森鴎外 「栗山大膳」
...「――それがおしのからあなたへのかたみです...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...バテレン達の遺品(かたみ)とあれば手も触れようとはしない...
吉川英治 「江戸三国志」
...恥を遺物(かたみ)にのこすなよ」信長の声のする所を軍の主流として...
吉川英治 「新書太閤記」
...革(かわ)の巾着(きんちゃく)――お父っさんのお遺物(かたみ)の――あれを先生はまだ持っていてくれますか」「落しはせぬ」「中を...
吉川英治 「宮本武蔵」
...杜鵑と郭公とはかたみがはりに啼いてゐたのであつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??