...ちょろちょろと燃えかすれた根粗朶(ねそだ)の火におぼろに照らされて...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...君の家に泊めて呉れないか」かすれた声で五郎は言った...
梅崎春生 「幻化」
...どういう人です」かすれた声で...
海野十三 「断層顔」
...夫はかすれた声で...
太宰治 「おさん」
...何人(だれ)だね」伯父さんは恐ろしそうにかすれた声で云った...
田中貢太郎 「餅を喫う」
...とうとう校長先生がすでにかすれた声で木の根から...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...錦太郎は唇を噛みました、が、しばらく自分の心持を落着けると、白々とした観念の顔を挙げ、キッと平次を睨(にら)み、それから主人勘兵衛の顔を見据えながら、少しかすれたが、落着き払った声でこう言うのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...かすれた文字をつらねて困っておりますからとおきまりの置手紙を書いた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...かすれた文字をつらねて...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...かすれた紙や黄色い羊皮紙(ようひし)...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...興奮の極、かすれた低声で、「信じられません! とても信じられません!」と、ジュッドは叫ぶように、「ルウスがそんな大それたことをしたなんて、私は考えることも出来ません...
牧逸馬 「アリゾナの女虎」
...」――ひょうきん者はかすれた声で答えた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...そしてまるで細いかすれた声で...
宮沢賢治 「クねずみ」
...すると――ギイ! (かすれた夜鳥の鳴声のような声を出す...
三好十郎 「胎内」
...「それでも知らない人間か」「知りません」と栄二はかすれたような声で答えた...
山本周五郎 「さぶ」
...しかし声が喉でかすれたので...
山本周五郎 「橋の下」
...ひどくかすれた大きな文字であった...
山本周五郎 「風流太平記」
...かすれた最後のうめき声が...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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