...かすかな声で呟きましたが...
芥川龍之介 「妖婆」
...葉子の足もとにはただかすかなエンジンの音と波が舷(ふなばた)を打つ音とが聞こえるばかりだった...
有島武郎 「或る女」
...アメリカから買って帰った上等の香水をふりかけた匂(にお)い玉(だま)からかすかながらきわめて上品な芳芬(ほうふん)を静かに部屋の中にまき散らしていた...
有島武郎 「或る女」
...こうかすかな声を発する...
谷譲次 「踊る地平線」
...かすかな嗚咽(おえつ)をつづけている彼女の鼻の孔(あな)をおさえ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...かすかな音がしたと思うと...
壺井栄 「柿の木のある家」
...かすかな楽の音が洩れてきた...
豊島与志雄 「蘇生」
...かすかな声がしました...
豊島与志雄 「天下一の馬」
...ふたりと彼との間には既に壁ができてるかと思われるようなかすかな声で...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...巣の中のかすかな光線にてらされて...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...二人のかすかな足音が羊歯(しだ)をうごかした...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「精」
...冥加(みょうが)なわけで――」闇太郎、からかいながら、吉と世間ばなしをしているうちに、心の中で、――お初の奴、今夜、はやまって、三斎屋敷へでも駆け込まなきゃあいいが――まさか、そんなこともしやあすめえが――女という奴は、一度、惚れ込んだとなると、ちっとやそっとのことでは、あきらめやしねえ――まだまだ未練があるにきまっている――その中に、ふくれッつらをしてけえって来るだろう――すると、やがて、路地で、かすかな足音...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...なにか鍵(かぎ)でも触(ふ)れあったようなかすかな声がしました...
宮沢賢治 「烏の北斗七星」
...なにを そんなに待ちくたびれてゐるのか大地から生まれいづる者を待つのか雲に乗つてくる人をぎよう望して止まないのかかすかな像(イメヱジ)山へゆけない日 よく晴れた日むねに わくかすかな像(イメヱジ)秋の日の こころ花が 咲いた秋の日のこころのなかに 花がさいた白い 雲秋の いちじるしさは空の碧(みどり)を つんざいて 横にながれた白い雲だなにを かたつてゐるのかそれはわからないが...
八木重吉 「秋の瞳」
...女の眼にはかすかな隈があって...
山川方夫 「その一年」
...とかすかな軌(わだち)の音が濡れた大地を静かにきしんでくる...
吉川英治 「親鸞」
...かすかな気を呼び起こしたとみえ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...櫻の花がかすかなひかりを含んで散りそめる...
若山牧水 「樹木とその葉」
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