...私(わたくし)はかすかな心(こころ)の寛(くつろ)ぎを感(かん)じながら...
芥川龍之介 「蜜柑」
...かすかな音を響かせたのに過ぎなかった...
芥川龍之介 「路上」
...シリベシ河のかすかな水の音だけが聞こえていた...
有島武郎 「カインの末裔」
...壁スイッチが押されるとジジジーというかすかな音がして...
海野十三 「地球盗難」
...のこった長い午後はたぶんわたしの黙想をさまたげるものは遠方の街道を行く馬車か連畜のかすかな物音以外にはないであろう...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...かすかな音であったけれども...
太宰治 「雌に就いて」
...動くとしても肩でかすかな息をするとか...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...火の球は、かすかな、ものの煮えたぎるような音を立てながら細かく震動している...
寺田寅彦 「備忘録」
...私はかすかな不安を覚えながら...
中戸川吉二 「イボタの虫」
...かすかな救ひがあつたのではないか...
原民喜 「鎮魂歌」
...これがこんな場合それといわずに、自分の本体を、知らせ合う法で、咳ばらいには、めいめいの特長があるから、ほんのかすかな、小さな、低いひびきでも、お互に、ははあ――近づいて来たのは、誰だな? 何人だなということが呑み込めるわけだ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...石の古い空虚な街がかすかな傾きを明瞭に泛べている真上に...
横光利一 「旅愁」
...かすかな寝息が聞こえます...
吉川英治 「江戸三国志」
...かすかな列のせせらぎは鬼みたいな男が顔をおさえているすすり泣きなのだった...
吉川英治 「私本太平記」
...畳にかすかな揺れを落しているだけだった...
吉川英治 「梅里先生行状記」
...かすかな煙がその辺から漂(ただよ)っている...
吉川英治 「宮本武蔵」
...向うの方にかすかな灯りが点いているのが見えた...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
...かすかな大気の流れが観音の前面にやや下方から突き当たって...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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