...倉地はその言葉で始めて何かいったのをかすかに思い出したふうで...
有島武郎 「或る女」
...波の音なども少しずつかすかになって...
有島武郎 「生まれいずる悩み」
...父の寝床のほうからかすかな鼾が漏れ始めた...
有島武郎 「親子」
...来よとや幽(かすか)に打寛(うちくつ)ろげたまえる...
泉鏡花 「一景話題」
...かすかに、あいつの息づかいが聞こえるような気がします...
江戸川乱歩 「おれは二十面相だ」
...その足音は初めはかすかで...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...門の椽と塀の上の瓦と一尺ばかりの空虚からは桧葉の植込の一部がかすかに見られる...
長塚節 「我が庭」
...腰かけがキーイとかすかな音をたてて...
新美南吉 「いぼ」
...かすかな救いがあったのではないか...
原民喜 「鎮魂歌」
...東の空が、かすかに、白みはじめたころ、甲板のうえに、大村組の仲仕たちが、全員、飛びあがって来た...
火野葦平 「花と龍」
...向うの林の奥から「ボブ!」と呼ぶ声がかすかにした...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...かすかに笑みを漏らし...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...潮(うしほ)の退(しりぞ)くやうに全身(ぜんしん)から脱(ぬ)けて行(ゆ)く力(ちから)を感(かん)じおとろへた眼(め)を歩哨(ほせう)の掲(かゝ)げた燈(ともしび)に投(な)げ裂(さ)き捨(す)てられた泥(どろ)に吸(す)はれた伝単(でんたん)を見詰(みつ)め手(て)をかすかに挙(あ)げ...
槇村浩 「生ける銃架」
...かすかだった人声は次第にたかまり...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第七巻)」
...ほんのかすかに見えるばかり...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...」とかすかに云っただけで...
横光利一 「旅愁」
...かすかな寝息を呼吸している...
吉川英治 「江戸三国志」
...かすかなニュアンスによって抑揚をつけた静かなこの顔の方が...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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