...……まずお酌だ...
泉鏡花 「薄紅梅」
...お酌でもして下さると...
江見水蔭 「悪因縁の怨」
...お酌してくれる者があるままに自分はぐいぐいあおっていた...
相馬泰三 「六月」
...お酌(しゃく)をせんかい...
太宰治 「佳日」
...光ちやんと嫂のお酌で...
太宰治 「津軽」
...お酌をするやら下にも置かないようにします...
谷崎潤一郎 「幇間」
...わたしにお酌をし...
豊島与志雄 「好人物」
...もう一人のお酌が居りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...二人のお酌は怖いので次の間に逃げて居たが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いやなお人(ひと)にはお酌(しやく)をせぬといふが大詰(おほづ)めの極(きま)りでござんすとて臆(おく)したるさまもなきに...
樋口一葉 「にごりえ」
...お礼に、お酌をします...
火野葦平 「花と龍」
...あの姿で――俺達武士(つわもの)にお酌をする光景を想ふと...
牧野信一 「夜の奇蹟」
...お酌をするの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...誰かお酌(しゃく)を呼ぼうか...
山本周五郎 「青べか物語」
...三「おつるさんのことはもう心配はないわ」とおしのは続けた、「あの人は二人の子をかかえて、これから苦労することでしょう、苦労があんまりひどければ、二人の子を伴れて親子心中をするかもしれない、でも決して、あなたに迷惑はかけないと思うわ」「もうその話はよそうじゃないか」「憚(はばか)りさま、お酌」おしのは、盃を出し、源次郎が酌をした、「今夜はいただくのよ」とおしのは云った、「この話はあなたに痛いのね、おつるさんのほかにも、何人となくたのしんだ相手がいるんでしょ、たのしむだけたのしんで、飽きれは猫の仔を捨てるように、さようなら――とも云わずに捨ててしまったんでしょ」「およねさんのように云うと、男だけが悪いように聞えるけれど」源次郎は手酌で飲み、おしのに酌をしてやりながら、とりいるような口ぶりで云った、「女だって子供じゃあなし、こうすればどうなるかというぐらいの分別はある筈だ」「そのとおりよ」「男に妻子があるかないかはべつとして、いろごとというものはひょいとしたはずみでもできてしまう、算盤(そろばん)を置くように、末始終のことを計算したり、是非善悪のけじめをつけてから、さてそれでは、というようなもんじゃあない、男も人間だし女も人間だ、ばかなことをしたり思わぬ羽目を外したり、そのために泣いたり苦しんだりするのが、人間の人間らしいところじゃあないだろうか、いろごとでたのしむのは男だけじゃあない、女のほうが男の何十倍もたのしむという、だからこそ、前後の分別を忘れて男に身を任せるんじゃあないか」「あなたの云うとおり、そのとおりよ」とおしのは盃の酒を呷(あお)った、「あたしはまだ知らないけれど、たのしむところまではそのとおりのようね、でも、そのあとはどうなの、――わかりいいからおつるさんのことにしましょう、男と女、人間同士ひょいとしたはずみでそういうことになった、おつるさんはあなたの何十倍もたのしんだとしましょう、それにしても、おつるさんをくどきおとしたのはあなただし、たとえ何十分の一にもせよ、あなただってたのしんだことはたのしんだ、そうでしょ、それだのにあとで苦しむのは女だけで、あなたは爪の先も痛みはしない、おつるさんはことによると、一生苦しまなければならないかもしれないのに、あなたは妻子とたのしくくらしているうえに、あたしのような者ともこうして隠れあそびをしていられる、――男と女はもともとそういうようにできているのかもしれません、きっとそうなんでしょうよ、けれども、それであなたはなんでもなくって、たまにはああ悪かったぐらい思うこともあるんですか」「今夜は御機嫌ななめらしいな」源次郎は苦笑しながら、おしのに酌をして云った、「なにかいやなことでもあったのか」「今夜限(き)りでお別れする、っていうことが云いたかったんです」源次郎は訝(いぶか)しそうな眼をした、「――およねさん酔ったね」「酔うのはこれからよ」と云っておしのは汁椀の蓋を取った、「さあ注いで下さいな」「うれしいね、その調子だ」彼は酌をしてからおしのを見た、「だが、――これっきりで別れるというのは、まさか本気じゃあないだろうね」「本気よ」とおしのは云った、「自分では本気のつもりよ、いろいろ考えてみると、このへんが別れどきだと思ったの」「それはひどいよ、別れどきって云ったって、まだ一度も寝たことさえないじゃないか」「だから今夜はその覚悟で来たって云ったでしょ」「つまり、やっとのことで始まる、というわけじゃないか、半年の余も待ちに待って、ようやく望みがかなったと思うと、それっきりで別れるなんて罪だ、それはあんまりひどすぎるよ」おしのは笑った、「あなたの番が来たのよ」「なんだい、私の番って」「これまでは女のほうが苦しんだ、何人か、何十人か知りませんけれどね」と笑いながらおしのが云った、「こんどはあなたが苦しむ番なの、わかるでしょ」「おまえさんは平気なんだね」源次郎の顔に自信ありげな微笑がうかんだ、「今夜なにしても、明日は平気で別れて、そのままでなんともないっていうんだね」「そんな顔をなさらないで」おしのは気弱そうに云った、「自分でそう決心したんだから、この気持を崩さないでちょうだい、――あなたがそういう顔つきをなさると、躯から力がぬけてしまうような気がするの、あなたって怖い方だわ」「怖いもんか、私は甘い人間だよ」彼は征服者のように云った、「さあおよね、今夜限りでお別れなら、酒なんかで暇を潰(つぶ)してはいられない、ちょっと向うで休むとしよう」「女中さんが来ますよ」「来やあしないよ」彼は立ちあがって手をさし出した、「このうちのことは私がよく知っている、呼ばなければ誰も来る気遣いはないんだから、さあ」「立たせてちょうだい」「酔っちまったね」源次郎は炬燵をまわり、おしのをうしろから抱き起こした...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...奥様のお酌で盃を重ねておられました岡沢先生が...
夢野久作 「押絵の奇蹟」
...芸者、紳士、警官、お酌、判事、検事、等々々といった順序に重なり合った珍妙極まる人間の数珠玉(じゅずだま)なんだ...
夢野久作 「爆弾太平記」
...お前さんのお酌(しゃく)じゃあ」「いくら奥に色の小白いのを寝せつけてあるからッて...
吉川英治 「江戸三国志」
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