...お止しよ、お祖母さんと、その娘はまた同じことをここで云って、ぼうと紅くなる...
泉鏡花 「婦系図」
...ねえお祖母さん? 芳公はお馬鹿さんだから年をとらないだけなんですよ』『ふうん』弟は腑(ふ)におちないやうな顔をしてぢつと私の顔を見てゐました...
伊藤野枝 「白痴の母」
...お祖母さんが前にお嫁に行つて産んだ子さ』『ぢや、お祖母さんは、うちに来る前に、何処かに行つたの』『あゝ、Aに盗まれて行つたのだよ』『へえ、お祖母さんが?』私は思はずさう云つてお祖母さんの大きな眼鏡をかけた、皺だらけな顔をながめました、もう少しでふき出しさうになりながら...
伊藤野枝 「嫁泥棒譚」
...お祖母さんにだけはそつと内証(ないしよう)にして置きたい...
薄田泣菫 「茶話」
...夫婦一緒なんだものね」「お祖母さんたら...
外村繁 「夢幻泡影」
...お祖母さんは時々来るんでしょう...
豊島与志雄 「反抗」
...「また!」と云つてお祖母さんも怖い顔になつて兄の方を睨んだ...
中原中也 「良子」
...彼女はお祖母さんが摺鉢でゴマと味噌とを摺合せてゐるのを見入つてゐた...
中原中也 「良子」
...お祖母さんでも誰でも...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...安心してお祖母さんのお世話をしていらっしゃい...
林芙美子 「新版 放浪記」
...どこかその面差しが私の死んだお祖母さんに似てでもゐるのか知らん...
堀辰雄 「エトランジェ」
...お祖母さんがはひつて來て...
堀辰雄 「旅の繪」
...「お祖母さんお米をこんなにこぼしちやつてよ...
牧野信一 「池のまはり」
...このお祖母さんだっていくじがないと思う...
宮本百合子 「雨の昼」
...それと一緒に、日頃の紋切型の教育が教えこんでいる貞操という考えの混乱もおこって、彼女は啜泣きながらお祖母さんの手にすがって、「ねお祖母さん、じゃ人は一生に二度人を愛したり結婚したり出来るものなの? おお! では貞操っていうのは、どういうものなの?」ときくのだけれど、この大切な瞬間のお祖母さんはその経験ふかい白髪にかかわらず、さながら大きい棒パンのようにただ立って、切なげな表情をして、或る意味で人生の瀬戸ぎわに立っている孫娘にくりかえして云えることと云えば、赤坊の時分から唇に馴れた「さアおやすみ」という言葉だけである...
宮本百合子 「雨の昼」
...その子供らのお母さんやお祖母さん...
柳田国男 「故郷七十年」
...モアンお祖母さん?』彼女は如何にも若かつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...彼女がお祖母さんと呼んでゐる此の貧しげな老婆とは全く育ちが違つてゐるやうに見えた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??