...ぬいもあなたのお志はうれしく存じますでしょう」小母さんの声は意外にも曇って震えていた...
有島武郎 「星座」
...この時初めてお志保は口を開いた...
相馬泰三 「田舎医師の子」
...お志があれば紙代でよろしい」と突然縁がはに軸をひろげた人がある...
高村光太郎 「気仙沼」
...高邁のお志には、いつも逆境がつきまといます...
太宰治 「愛と美について」
...何うか……」「これは難有(ありがた)いお志だ...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...きっと子供たちもお志をついでくれるでしょう」と言った...
永井隆 「この子を残して」
...お志だよ」見物の中からこう言って...
中里介山 「大菩薩峠」
...だが、今日は兵馬が、道行の道中の時のように、即(つ)かず離れずの煮え切らない受け答えはしない、いよいよ言葉を改めて、いよいよきっぱりと、「いや、お志は有難いし、情合いのほどもよくわかります、けれども、あなたの安定は、拙者の安定ではない、今日まで、縁あってあの道中、助けつ助けられつしてここまで来たのは、君の方で拙者に親切をしてくれたから、拙者もまた乗りかかった舟、仏頂寺、丸山の徒ならば知らぬこと、かりそめにも女の身一つを、山の中へ投げ出して、お前はお前、わしはわし、どうにでもなれと不人情のできない羽目に置かれたから、それで、心ならずも――ここまで同行をして来たのです、ここへ来て、君の一身が、もう全く心配がない、安定の見込みがついたとなれば、拙者の使命は完全に果されたのだ、この上、君の御好意に随うのは、もう人情の上を越えた溺没――少し言葉がむずかしいが、今まではおたがいに親切、これからはおたがいに溺れるということになり兼ねない...
中里介山 「大菩薩峠」
...」「お志、有り難う...
長與善郎 「青銅の基督」
...用心棒になりますよ」「お志ざしは有難いが...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...直次は何氣なき躰にて今日のお志しは御父上樣とか...
一葉 「暗夜」
...お志は忝ないがそれはいけません...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...六条院も中宮のお志をお助けになって...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かくは流浪(るろう)の身の上でござる」「あっぱれご苦心のお志...
吉川英治 「剣難女難」
...お志(こころざし)だけをうけて...
吉川英治 「神州天馬侠」
...「それまでのお志とあらば...
吉川英治 「新書太閤記」
...……粥(かゆ)もやがて炊(た)けましょう、どうぞ、ゆるゆる御休息くださるように』内蔵助は、その挨拶(あいさつ)を謝して、『禁盃(きんぱい)の寺内に於いて、御酒(ごしゅ)を頂戴(ちょうだい)いたしては如何と思いますが、せっかくの御芳志(ごほうし)、又、この中には嫌いが少い事でもあれば、お志に甘えて、存分に喰(た)べ申す』『さあ、お気づかいなく』大盃小盃、思い思いに手にして傾けるのだった...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...隔意(かくい)のない御意見もあらば、聞かせて戴きたいものであるが」いうと、光秀様は、膝を正して、「真実、そのお志ならば、不肖(ふしょう)光秀が、再び牢人いたして、密(ひそ)かにお使いいたしてもようござるが」「して御意中の人とは」「小国なれど、尾張の織田上総介(かずさのすけ)信長公...
吉川英治 「茶漬三略」
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