...あるいかがわしいダンスホールにお忍びで出掛けたというわけなんです...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「鉄の処女」
...大晦日の晩になるとこつそりお忍びで市街(まち)へ浮れ出し...
薄田泣菫 「茶話」
...たとえば嫌厭先生が花柳(かりゅう)の巷(ちまた)に遊ぶにしても或いは役者といつわり或いはお大尽を気取り或いはお忍びの高貴のひとのふりをする...
太宰治 「ロマネスク」
...所謂お忍び的行為が全然出来なかったまでのことである...
豊島与志雄 「三木清を憶う」
...お忍び下さいまし」そこで...
中里介山 「大菩薩峠」
...それで十手捕繩をお預りしちや濟むめえ」「へエ」「高力左近太夫樣が、高力左近太夫樣で道中をしては、毛利と淺野の家來につけ狙はれて危ないが、參覲交代の大名が、逃げも隱れもするわけに行かねえ」「成程ね」「そこで、殿樣に似てゐる志賀内匠をおびき出し、脅(おど)かしたか、宥(なだ)めたか、兎に角殿樣の身代りになつて本街道を島原へ練らせ、眞物の左近太夫樣は、お忍びで、藏宿の船か何かで、そつと歸らうと言ふ術(て)だ」「讀めたツ、――それに違(ちげ)えねえ、親分」「今頃讀めたつて自慢にはならねえ」「太てえ殿樣野郎だ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それで十手捕縄をお預かりしちゃ済むめえ」「ヘエ」「高力左近太夫様が、高力左近太夫様で道中をしては、毛利と浅野の家来につけ狙われて危ないが、参覲交代(さんきんこうたい)の大名が、逃げも隠れもするわけに行かねえ」「なるほどね」「そこで、殿様に似ている志賀内匠をおびき出し、脅かしたか、宥(なだ)めたか、とにかく殿様の身代りになって本街道を島原へ練らせ、真物(ほんもの)の左近太夫様は、お忍びで、蔵宿の船か何かで、そっと帰ろうという術(て)だ」「読めたッ、――それに違(ちげ)えねえ、親分」「今ごろ読めたって自慢にはならねえ」「太(ふて)え殿様野郎だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...仙臺樣御忍びの行列に逢ひましたが」「夜分にお忍びの行列?」「本所お下屋敷からのお歸りだつたさうで」それはありさうなことでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...仙台様が――」「物事はそう都合よく行くものじゃないよ――仙台様が折よくお忍びで通りかかったにしても...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの方の心がその苦しさをお忍びになることが出來なかつたのです...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...お忍びで大将に会うことができます...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...お忍びで帰国して...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...十五夜の月の美しく静かなもとで昔をお忍びになって帝はお心をしめらせておいでになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「頼興さまがお忍びで...
山本周五郎 「風流太平記」
...お忍びでここへ尋ねて来たのも...
吉川英治 「剣難女難」
...そして李の残忍を、もうしばらく、お忍び下さい...
吉川英治 「三国志」
...御車(みくるま)のうちでせぐりあげている苦しそうなお忍び泣きも...
吉川英治 「私本太平記」
...楠木正成公(くすのきまさしげこう)のご一族がお忍びなすった無念さなどを思い合せましてね……へへへ...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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