...……あゝ、此の間(あいだ)、鳩(はと)にばツかり構つて居たから、お前さん、一寸(ちょいと)お冠(かんむり)が曲りましたね...
泉鏡花 「印度更紗」
...』『工夫/\つて此の間からお前さんはさういつてゐるけれど...
伊藤野枝 「火つけ彦七」
...お前さんのこしらえておいた抜け穴から外へでるのだよ」なんでも知っている猫女だった...
海野十三 「少年探偵長」
...お前さんはこの国旗の布片(きれ)で濡手を拭きなすつたやうだね...
薄田泣菫 「茶話」
...ほんとうに旦那様や奥様に対して、なんとも申訳がございません」「なに、何時(いつ)も云うとおり、そんな遠慮は入らない、私(わし)の家はべつに小供はなし、浪人暮しで窮屈な思いをするところもないし、遠慮せずにゆっくり養生(ようじょう)をさして、それから出発せらるるが宜(よ)い、それともお前さんの都合で、一生ここにおりたいと云うなら、世話をしてあげても宜い」「ありがとうございます、まだ一度も逢(あ)ったことのない叔母(おば)を便(たよ)って往くよりは、御当家のような処で、婢(じょちゅう)端女(はしため)のかわりに使われて、一生を送りとうございますが、まさかそんなお願いもできませず」「なに、お前さんが、こんなところにいても宜いと云う気なら、何時(いつ)でも世話をしてあげる」「ほんとうにそんなお願いをしてもよろしゅうございましょうか」「よいとも、武士の詞(ことば)に二言(にごん)はない」「ありがとうございます」壮(わか)い女は燃えるような眼をして太郎左衛門を見て、「乳母にも話しまして、二人で相談しましたうえで、お願いいたします」「宜(よ)いとも」その夜太郎左衛門は壮い女のことが頭に一ぱいになって、どうしても眠れないので、またそっと寝床を出て女の室(へや)へ忍んで往った...
田中貢太郎 「切支丹転び」
...お前さんは支度(したく)をなさい...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...「お前さんなんぞは...
中里介山 「大菩薩峠」
...お前さんそれを手に入れたの?」「どうしてったってお前...
中里介山 「大菩薩峠」
...お前さん生き物は好きかい」平次の調子はさりげないので...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「お前さんは与七さんだね」「ヘエ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「お前さんは、彌之助さんとか言つたね」「へ、へ」三十前後の少し日向(ひなた)臭い男が、平次の前に小腰を屈めました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...料理場へ火さげを持って火を取りに行くと、「お前さん、西洋まげより、その髪の方がずっといいよ」と云ってくれた...
林芙美子 「新版 放浪記」
...それをお前さんのように...
二葉亭四迷 「浮雲」
...それはお前さんあんまりというもんだ...
二葉亭四迷 「浮雲」
...お前さん方は知らねえのか? 毒で毒を制しようというのだ...
三好十郎 「斬られの仙太」
...お前さんといっしょの空気を吸っているわけには行かないんだ私はお前さんといっしょに呼吸してはおれないのだ私はお前さんが生きている世の中で私は生きておれない私は死ぬのは...
三好十郎 「殺意(ストリップショウ)」
...石松はお前さんの児分になりたいらしい...
山中貞雄 「森の石松」
...お前さんだいぶ道々拾っていたっけが(訳者註...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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