...女中に伴われて来た様子を見ますと、日頃お人好しの、少々抜けているという噂の彼は、まるで彼自身が人殺しの犯人ででもある様に、青くなって、おずおずしているのです...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...兄貴がお人好しだからだ)兄貴がお人好しで蛇を拝んだり...
田中貢太郎 「春心」
...あぶないお天気だけれど出かける、途中まで例の尺八老と同行、彼はグレさんのモデルみたいな人だ、お人好しで、怠け者で、酒好きで、貧乏で、ちよい/\宿に迷惑もかけるらしい...
種田山頭火 「行乞記」
...今日は郵便局で五厘問答をやつた、五厘銅貨をとるとらないの問答である、理に於ては勝つたけれど情に於て敗けた、私はやつぱり弱い、お人好しだ...
種田山頭火 「行乞記」
...忘れていたどころかきれいさっぱり忘れていたあるお人好しの老官吏の面影が...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...上坂の細君がしげ子のことをお人好しの馬鹿だと云った...
豊島与志雄 「田原氏の犯罪」
...ありゃお人好しだっていってたよ...
中里介山 「大菩薩峠」
...祖父が――父の養父――がお人好し過ぎて他人のために財産といふものを全部使ひ尽して...
中原中也 「その頃の生活」
...扨((さて))お人好し氏の鼻こそは仮漆(ラツク)と光り...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...あとは通ひの職人ばかり」「それから」「掛(かゝ)り人(うど)のお半といふのは無類のお人好しで...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あの頭のすこし禿(は)げかかったお人好しらしい主人が熱心に首をかしげて暗算した合計であったので...
堀辰雄 「旅の絵」
...もとより日頃お人好しの豚は...
三好達治 「測量船拾遺」
...お人好しの部分品ばかり集めてこねあげたものだ...
山本周五郎 「季節のない街」
...彼は右足の拇指(おやゆび)がない、お人好しで、ぐずで、いつも喉(のど)をごろごろならせている、いうまでもなくそれは悪い病気のせいだ、しかし留さんには留さんの哲学があった...
山本周五郎 「留さんとその女」
...お人好しは突き衝られてばかりで...
横光利一 「旅愁」
...おめえの値打ちのあるところだ」「お人好しの率八でございますからね」「そのお人好しの家へ厄介(やっかい)になって...
吉川英治 「江戸三国志」
...屠所(としょ)の羊のように引っ張られて来たのはお人好しの率八です...
吉川英治 「江戸三国志」
...お人好しだったに違(ちげ)えねえ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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