...」とまんざらお世辞でもないやうな...
太宰治 「右大臣実朝」
...とお世辞だか忠告だか非難だか...
太宰治 「新釈諸国噺」
...お世辞気のない新妓(しんこ)の銀子に辛(つら)く当たり...
徳田秋声 「縮図」
...銀子もお世辞を言われて...
徳田秋声 「縮図」
...又判断(即ち私に云わせれば趣味判断)が甘くてお世辞使いだから...
戸坂潤 「思想としての文学」
...「つまらないお世辞は止し給え...
豊島与志雄 「二つの途」
...お世辞を言われてもただむっつりしていました...
豊島与志雄 「水甕」
...」「お世辞じゃないが...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...虐げられ無防備な医師が権利を得るために使うことのできる手段は「お世辞」だけであった...
マクス・ノイバーガー Max Neuburger 水上茂樹訳 「医学の歴史」
...」傍から首を出した妹を見てお世辞をつぎたした...
長谷川時雨 「木魚の配偶」
...近所の人は私に似て居るとお世辞を云っています...
浜尾四郎 「途上の犯人」
...昔の友といふ中にもこれは忘られぬ由縁(ゆかり)のある人、小川町の高坂とて小奇麗な烟草屋(たばこや)の一人息子、今はこの様に色も黒く見られぬ男になつてはゐれども、世にある頃の唐桟(とうざん)ぞろひに小気の利(き)いた前だれがけ、お世辞も上手、愛敬(あいけう)もありて、年の行かぬやうにも無い、父親(てておや)の居た時よりは却(かへ)つて店が賑(にぎ)やかなと評判された利口らしい人の、さてもさてもの替り様、我身が嫁入りの噂聞え初(そめ)た頃から、やけ遊びの底ぬけ騒ぎ、高坂の息子はまるで人間が変つたやうな、魔でもさしたか、祟(たた)りでもあるか、よもや只事では無いとその頃に聞きしが、今宵見れば如何にも浅ましい身の有様、木賃泊りに居なさんすやうに成らうとは思ひも寄らぬ、私はこの人に思はれて、十二の年より十七まで明暮れ顔を合せる毎(たび)に行々(ゆくゆく)はあの店の彼処(あすこ)へ座つて、新聞見ながら商ひするのと思ふてもゐたれど、量(はか)らぬ人に縁の定まりて、親々の言ふ事なれば何の異存を入られやう、烟草屋の録さんにはと思へどそれはほんの子供ごころ、先方(さき)からも口へ出して言ふた事はなし、此方(こちら)は猶(なほ)さら、これは取とまらぬ夢の様な恋なるを、思ひ切つてしまへ、思ひ切つてしまへ、あきらめてしまはうと心を定めて、今の原田へ嫁入りの事には成つたれど、その際(きは)までも涙がこぼれて忘れかねた人、私が思ふほどはこの人も思ふて、それ故(ゆゑ)の身の破滅かも知れぬ物を、我がこの様な丸髷(まるまげ)などに、取済(とりすま)したる様な姿をいかばかり面(つら)にくく思はれるであらう、夢さらさうした楽しらしい身ではなけれどもと阿関は振かへつて録之助を見やるに、何を思ふか茫然(ぼうぜん)とせし顔つき、時たま逢ひし阿関に向つてさのみは嬉しき様子も見えざりき...
樋口一葉 「十三夜」
...柄にもないお世辞をいう...
火野葦平 「花と龍」
...あなたほどの大物がこんな小物を」ステファノが肩をすくめ笑顔を作ったのには安っぽいお世辞の臭いがあった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部秘話」
...などと妙なお世辞ともつかぬことを云つたのです...
牧野信一 「砂浜」
...判で押したように空(から)お世辞の千篇一律だったから止した...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...そこで話の口きりに述べたお世辞であった...
吉川英治 「新書太閤記」
...お世辞を仰有(おっしゃ)るのです...
吉行エイスケ 「バルザックの寝巻姿」
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