...おぼろげながら神というものを恋しかけた十二三歳ごろの葉子に...
有島武郎 「或る女」
...新井田氏の存在をおぼろげながら意識すると彼がその顧問(新井田氏自身は渡瀬を助手と呼んでいたが)となって...
有島武郎 「星座」
...おぼろげながら判っている...
太宰治 「女生徒」
...おぼろげながら予感できるが...
太宰治 「パンドラの匣」
...子供心にもおぼろげながら一種の歓びと安心とを感じさせる程でした...
谷崎潤一郎 「金色の死」
...それは盲もくのわたくしにもおぼろげながらわかるような気がいたしました...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...確定と偶然との相争うヒットの遊戯が何ゆえに人間の心をこれほどまでに強く引きつけるかという理由をおぼろげながら感得することができるような気がした...
寺田寅彦 「野球時代」
...そはおぼろげながら方寸のいずれにかおのが仕打ちの非なるを...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...漸く支那文化の根原がおぼろげながら明かになるのである...
内藤湖南 「支那古典學の研究法に就きて」
...おぼろげながらも記憶を辿(たど)って自分の気もちを語りました...
浜尾四郎 「悪魔の弟子」
...おぼろげながら人の顔が見えるくらいに明るかったので...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...その廻りくどい言い方で以て何事を話そうとしているかがおぼろげながら解って来て...
三好十郎 「おりき」
...おぼろげながらわかったような気がしました...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...おぼろげながら推察することができた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...おぼろげながら思いだすことができた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「自分のしなければならないこと」の方向がおぼろげながらわかるようになった...
山本周五郎 「若き日の摂津守」
...「どうじゃ金吾……わしは何か一縷(る)の曙光が見えて来たような気がするが」「拙者にも、おぼろげながら、吹上に出没する曲者の輪廓が、心に浮んでまいりました」御隠家様の殺害された当夜、彼の部屋から失われた樟板(くすいた)の秘図――そしてその割れたる半分の行方など、釘勘が、その後極力さぐり集めた考査の料を心のうちでつぎ合せて、じいっと黙想してみますと、彼にも、黒い二つの影が浮んで来ました...
吉川英治 「江戸三国志」
...三月堂の屋根の感じが、おぼろげながら、なおこの辺の民家の屋根に残っているのである...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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