...みんなは私よりもその妾の方へおべっかをつかい...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「あの顔」
...おべっかなのですか...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...にせ信心のおべっかユダヤ人から...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...坊主には物を送ったり阿諛(おべっか)を使ったりしやがる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...いやに農民におべっかをつかって...
中里介山 「大菩薩峠」
...神尾主膳は、件(くだん)の願人坊主を縄のれんへ連れ込んで、これに一杯飲ませ、「さて、只今、その方が姫稲荷で唄ったチョボクレを、もう一遍ここで唄ってくれ、いくら長くてもかまわん、初端(しょっぱな)から終りまで唄って聞かせてくれ」「お耳ざわりで恐れ入りました、どうか悪(あ)しからず御勘弁なすっていただきてえもんでござんす」「勘弁はあるまい、その方も商売で唄っているのだろう、それが商売で、つまり食うと食わぬの境だから、それで唄っているのだろう」「御意(ぎょい)の通りにございます、しがねえ商売でございますが、これも意気地なしの身過ぎ世過ぎ、致し方ぁございません」「お前を叱っているのじゃないぞ、後学のために一つ聞いて置きたいのだ、さいぜんの立聞きで、よっぽど面白いと思ったが、忙がしくて追いかけきれない、ここで改めてゆっくり一つ聞かせてもらいたいのだ」「唄えとおっしゃられると、これが商売でござんすから、唄わねえとは申し上げませんが、なにぶん作が作でございますから」「誰の作だ」「ええ、その作者てえのがわからねえんでげすよ、奥坊主のうちに作者があるんだそうでげすが、その奥坊主の中の誰の作でござんすか、わっしどもにゃ、ちっともわからねえんでげす、ただ、当時、こういうのが流行(はや)っているから唄え、受けるぜ、儲(もう)かるぜ、と仲間が伝えてくれるもんでげすから、その口真似をやっているだけのもんでげす、文句がよく出来ておりましたからって賞(ほ)めていただかなくてようがすが、もしまた誤って穏かならねえところがございましても、わしの罪ではございません」「それはわかっている、なにも貴様の口占(くちうら)を引いて、罪に落そうなんぞというのじゃない、ただ、そういう唄を聞いていると、最も正直な時代の声が聞えるというわけだ、おべっかや、おてんたらと違って、言わんとするところを忌憚(きたん)なく正直に言っているから、それで時代の風向きもわかるし、政治向の参考にもなるというものだ、ただ、一つの学問として聞いて置きたいのだから、正直に唄え」「左様な思召(おぼしめ)しでござんすなら、一番、腮(あご)に撚(より)をかけてお聞きに入れやしょうかな」願人坊主はようやく酔いも廻って、いい気になり、ことにこの殿様は、話がわかってらっしゃる、気前もよろしくてらっしゃる、お聞咎(ききとが)めでお調べの筋と来るんじゃなし、学問のために聞いて置きてえとおっしゃるんだから、ここは一番、願人坊主の腮の見せどころ、いや咽喉の聞かせどころと舌なめずり、咳払いよろしくあって、樽床几(たるしょうぎ)を宙に浮かせて――お聞きに入れます「当世よくばり武士」チョボクレ始まりさよ……そもそもこのたび京都の騒動聞いてもくんねえ長州征伐咽喉元(のどもと)過ぎれば熱さを忘れたたわけの青公家(あおくげ)歌舞伎芝居のとったりめかして攘夷攘夷とお先まっくらおのが身を焼く火攻めの辛苦もとんぼの鉢巻、向うが見えない山気(やまき)でやらかす王政復古も天下の諸侯に綸旨(りんじ)のなンのと勿体ないぞえ神にひとしき尊いお方の勅書を名にして言いたい三昧(ざんまい)我が田へ水引く阿曲(あきょく)の小人トドの詰りは首がないぞえそれに諂(へつら)う末社の奴原(やつばら)得手(えて)に帆揚げる四藩の奸物(かんぶつ)隅の方からソロソロ這(は)い出し濡手で粟取るあわてた根性眉に八の字、青筋出(いだ)して向う鉢巻、すりこ木かかえて威張ったとッても天下の諸侯はなかなか服さぬ足元あかるいうちこそ幸いお国土産の芋でもくらって屁(へ)でもこき出しひッたらよかろうおらが親分お気が好過ぎる自分の政事を一から十まで取り上げられても黙っているのかおめえはそれでもいいかは知らぬが冥途(めいど)にいなさる神祖に対してなンと言いわけしなさるつもりだチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ二百余年の社稷(しゃしょく)の大業人手に渡して済むか済まぬかわからぬながらも積ってみなさい一朝一夕、骨も折らずに取ッたか見たかの天下じゃないぞえ七ツの歳から駿河(するが)の人質数年の辛苦も臣下の忠義にようようお家にお帰りなさると門徒の争乱大高城内、兵糧運びの三方(みかた)ヶ原(はら)には一騎の脱走武田北条、左右に引受け孤立の接戦、数ヶ度の敗軍つくづく思えば涙がこぼれる小牧山なり、関ヶ原なり大阪御陣も、眉に火のつく火急の接戦夏は炎天兜(かぶと)の上から照りつけられても水も呑めない冬は寒気が肌(はだえ)を通して霜をいただき兜の緒を締め昼夜を分たぬ艱難辛苦と共に積ッた七十有余の歳になっても肉さえ食(くら)わず麁食(そしい)に水呑み昔を忘れず肱(ひじ)を枕に山野に起き臥(ふ)しそれに従う臣下も同様こんな憂目をなされた天下をいかに気楽なお人だとッても熨斗(のし)をはりつけ進上申すと渡す間抜けが唐(から)にもあろうかこれも奸賊四藩の為すこと腕を捲(まく)ッてやっきと気を張りピシピシやらかせ、しっかりしなせえ馬に鞍置き、鞭を加えてノンノン出かけろ譜代恩顧の諸侯もあるぞえチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ安芸(あき)のおじさん、どうしたものだよお前は当家のお聟(むこ)じゃないかえいわば一門同様なお方が長州なんどのお先に使われ狐になるとは呆(あき)れたものだよ四十二万のお高はどうした妾(めかけ)にばっかり入れあげたのか譜代恩顧の郎党励まし一手に引受け長州討ったら少しは先祖へ言いわけ立つベイ加賀さん、どうしたお前もやっぱりお聟じゃないかえ今は息子のお代といえどもしッかりしなさい百万以上の大きなお高を掌握しながら豆でも食(くら)った鳩ではあるまい隅にばっかりかがんでおっては根ッから詰らぬ大名の頭(かしら)か、芋の頭かなんだかかんだか少しもわからぬ今度は天下の安危に関(かか)わる肝心かなめの大事のところだ腕を捲ってふんぱつしなさいチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ仙台、南部や津軽の爺さんムクムクしないで何とか言いねえたとえお国は山の中でもこれまで度々(たびたび)お江戸へ参覲(さんきん)少しは世間が知れたであるベイ天下の大事は御家の大事だそれとも西国奸徒の野郎に頭を叩かれあやまる所存かグニャグニャ、グニャつく蒟蒻野郎(こんにゃくやろう)だことに仙台お前のお家の先祖は高名二百余年の静かに治まる天下泰平の先祖は政宗天下の諸侯を一手に引受けいくさを致すといわれた度胸に皆々屈服したではないかえそれに何ぞや今の始末はあんまり手ぬるい万石以上の四十八館(しじゅうはったて)槍先揃(そろ)えて中国征伐一手に引受けふんぱつしなさい金はなくとも米はたくさん蒸汽でどんどん積出すものなら国は忽(たちま)ち天下有福これからふんぱつ、一旗揚げれば天下に敵する諸侯はあるまい徳川中古の回復諸侯とあっぱれ言われろしッかりしなさいチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ次には会津の蝋燭親方(ろうそくおやかた)お前はほんとに忠義なお人だ四五年このかたふんぱつ勉強二十余万の僅かなお高でかくまでするのは感心感心今に奸徒が鎮静したらば百万石には請合いなるぞえなおなおこの上しッかりやらかせ因備(いんび)の腰抜け、呆(あき)れたものだよお前は眼前、今の君にはまことの兄弟それに何ぞや、奸徒に一味と世間の風聞不忠不義のお人であるぞえ家来不足で処置ができぬか僅か一国、二国に過ぎない国の政事が行き届かぬとは生きて甲斐(かい)なき間抜けの親玉いッそ、死んだが何よりましだよチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ阿波の野呂麻(のろま)も、やっぱりそうだよ土佐の奸徒にブルブルふるえてヘイヘイあやまり奴同様(やっこどうよ)にさるるはなにごとお前のお家は立派な生え抜き尻をはしょって、やっきとやらかせ福井の坊ちゃん、何していなさることに一旦、政事を執ったる肩書御所持の御身じゃないかえ今の騒動はお前がベラボウ諸侯の奥方、国もと住居(すまい)とやらせたことから起ったことだよお前は元来立派な御家門何はさて置き出でずばなるまい向う鉢巻、七ツ道具をしっかり背負って腕も砕ける奮撃突戦矢玉を冒(おか)して進まにゃなるまいそれができぬは、やっぱり腰抜けグズグズなさると首が飛びます天下の人民、挙(こぞ)ってにくむぞ肥前の御隠居、昼寝をなさるか天下は累卵(るいらん)、危うくなったよ出かけて騒動鎮めて下さい今まで尽した忠義の廉々(かどかど)ここでたゆむと水の泡だよ会津に劣らぬ文武のお人だなにぶんお頼み申すとあるぞえチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ肥後の親玉、これも同様惜しいことだが砲術開けぬしかし日和(ひより)を見ていちゃいけない今度の争議を治めて下さい黒田の親方、グズグズしないで早く出ないか、五十二万の高禄貪(むさぼ)り何していなさるまごまごなさると腰抜け仲間と人が言います長崎警固も厳しくしなさい薩摩に渡すと笑われ草だよ雲州と姫路は何しておいでだお二人さんとも立派な御家門中国山陰、押えの大名しっかりしないと切腹ものだよ中国西海平定したらば何とか御処置をせねばなるまいまことに気の毒、笑止の限りだ松山ふんぱつ、感心感心早くに加勢にやるのがよかろう福山どうした、銘酒を飲み過ぎ酔ってはならない砲術開いて先手を勤めろ井伊や高田は先にも懲(こ)りずに少しは鉄砲開くもよかろう戦地に臨んで青菜に塩では困ったものだよ先祖の武功も水の泡だよ錆(さ)びた刀や、へら弓ばかりじゃ叶わぬ世の中主家の大変、何と思うぞばかげた野郎だこいつも、やっぱり死んだがよかろうチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ藤堂(とうど)の爺(おっ)さん、早く出ないか慶長頃まで五万の小禄当家に仕えて三十余万の国主といえども御譜代同様国の異名(いみょう)にひとしき親方貰うばかりが能でもあるまい関西諸侯の旗の頭(かしら)が聞いて呆(あき)れて物が言えねえ讃岐(さぬき)の高松、大和の甲斐さん枝も鳴らさぬ泰平の浮世に十万余石の高禄貪り家来に文武の世話もなさずに飲み食いばかりに世の中送るは虫けら同然高を差出す仲間の頭だそんな心じゃ腹も切れまい縄をたよりに首でも縊(くく)って死んだがよかろう上杉親方、お前は感心譜代恩顧の人とは違って大きなお高を取られたお前が先年以来の忠義はなかなか諸人の及ばぬところでござるぞ佐竹の親方、お前もやっぱり高を取られた仲間の者だが今度の大変、非常の場合だ恨みをさし置き勤めて下さいチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ尾張の太郎さん大きなベラボウ神祖以来の三家の頭と言われるおん身が先年以来の御処置はなにごと宮のおやまの瘡毒(そうどく)身に染(し)み癩病病(らいびょうや)みとはなんともかんともたとえ様なき家来の奴ばら塒(ねぐら)に離れた烏じゃあるまいうろうろまごつきカアカア言っても仕方がないぞえ寝惚(ねぼ)けなさんすなお附の御家老紀伊さんなんぞは感服者だよ一同挙(こぞ)って兵隊こさえて天下に忠義を尽していなさるチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコ水戸の甚六(じんろく)、困ったものだよ副将軍と言われるお人が一国さて置き半国ばかりの政事ができぬか家来は不服で四方に分散お前もまことに摺古木野郎(すりこぎやろう)だ高を差出し十万余りの賄(まかな)い貰って引込み思案が相当だんベエチャカポコ チャカポコチャカポコ チャカポコそれはさて置きゾロゾロいなさる閣老参政その他の役人分別ついたか因循姑息(いんじゅんこそく)も時によります歌舞伎芝居の上使の壱岐さん田舎(いなか)ざむらい、役には立たねえちんぷんかんぷん、お臍(へそ)で茶が沸く先年、長州先手の総督九州大名指揮するなんぞと出かけたところはべら棒によけれど知恵がなくって了簡(りょうけん)なくってお尻が早くて長崎なんぞへかけおちなどとはまことに呆れる江南小児の遼来遼来(れろれろ)どころかそれとはかわッてあかん弁慶屁(へ)でも景清、外道(げどう)の大将天下の人民、挙って笑うぞ唐(から)の真卿(しんけい)、杲卿(こうげ)が忠勇画像を拝した張巡(ちょうじゅん)見なせえ皆これ天下の英傑だんベエこれこそ天下の将帥(しょうすい)と言われるそれに何ぞや賊の旗の手見るか見えぬにブルブルふるえて兵士を振り捨て一人で欠落(かけおち)馬鹿と言おうか臆病と言おうか文盲滅法(めくらめっぽう)、河童(かっぱ)の屁のよな腐った根性、譬(たと)え様なき摺古木野郎だ、首でも縊(くく)って死んだがよかろうスチャラカ チャカポコスチャラカ チャカポコ困る佐賀さん、呆(あき)れた縫(ぬい)ちゃん下から経上(へのぼ)る平山図書さん浅野の御隠居川勝先生これらもやっぱり学者の生酔い漢語交りの言葉を用いて書附なンぞはよしてもくんねえ机に向うて詩文の研究山ほど書いても役には立たないあっぱれ立派な物識(ものし)りめかして事務策なンぞも無暗にやらかし一(ひと)ッ廉(かど)天下の議論を述べても社稷(しゃしょく)を助ける知恵がなければ腐れ儒者だと孔明が言わずや春秋左伝に通鑑綱目(つがんこうもく)史記や漢書や元明史略(げんみんしりゃく)を百たび見たとて千たび見たとて生れついての馬鹿は直らぬ鉄砲かついでピイピイドンドンやったがましだろ武侯の中流呉起(ごき)が立策七十余城を一時に落した楽毅(がっき)が行いよくよく目をつけ考えみなせえ野呂間(のろま)じゃ天下の助けはできないナポレオンでもワシントンでも天下を治める技倆は格別なかなか及ばぬ、勉強しなせえスチャラカ チャカポコチャカポコ スチャラカ稲葉の兵六(ひょうろく)どうしたもンだよ腰抜け仲間のよぼよぼ親爺(おやじい)海軍総督、聞いて呆れる敗軍相当な臆病だましい船に乗ったら嘔吐(へど)でもするよりほかにはなンにも働き出来まいまだある、淀さん、川越親方グズグズしてるとお江戸が危ねえ四五年かかって、ようよう仕上げた歩兵はお暇(いとま)倹約なンぞとお為ごかしに旗本苦しめ金納なんぞとでかした揚句に半高(はんだか)取上げ融通にしたるは何のためだエ今が今まで兵士も出来ねえ金が有っても兵士がなければ軍(いくさ)は偖置(さてお)きなンにもできまいかくの如くの斗(としょう)の小人集まり挙(こぞ)って政治を執る奴内憂外患一時に起ッて今にも知れねえ天下の累卵これから俄(にわ)かにガヤガヤ騒いで太鼓が廻って触(ふれ)が廻って兵士がはいって小隊前へと号令かけても何が何やらわからぬ歩兵を催し散らして出かける騒動、馬鹿と言おうかたわけと言おうか、耳はあっても木耳(きくらげ)同様まなこはあッても節穴(ふしあな)同然木偶(でく)の坊(ぼう)とはこれらのことだよいまに見なせえ中国西国激浪漲(みなぎ)る天下の騒動お江戸は灰燼(かいじん)、その時どうするガラガラ崩れて地べたへ転げて鼻血と涎(よだれ)を流したとッても六日の菖蒲(あやめ)に十日の菊酒(きくざけ)あとの祭りでおさまり附かないチャカポコ チャカポコスチャラカ チャカポコスチャスチャ チャカチャカスチャチャカ ポコポコ譜代恩顧の小禄大名やっぱり間抜けで仕方もなけれどこれらは天下の米喰虫にて論に足らない度外の奴原何はともあれ肝腎(かんじん)かなめの天下の権老、こんなことではまことに困った神祖以来の尊き大業賊徒の馬蹄にかけるは歎息数も知らない旗本御家人多くの中には一人や半分忠義なお人が有りそなものだよ三千以上のお高を貪(むさぼ)り惰弱な奴原、役には立たないかかる危急の場合にのぞんでやっぱり寝惚(ねぼ)けて半高なんぞと己(おの)れに水引き小言を言いおる主家が亡びて己れが俸禄万々年まで保つの所存かお先真暗、足許見えぬも程があります間抜けで腑抜けで奥詰銃隊藁人形(わらにんぎょう)にも劣った人物遊撃隊にも困ったものだよ槍術剣術、役には立たないこれこれ旗本、しっかりしなせえ今の時節はなんと思うぞ一同挙(こぞ)って京都へ詰め寄せ愁訴と出かける覚悟はないかえさりとは困った腰抜け揃(ぞろ)いだ鳶(とび)の人足、土方といえども頭(かしら)がやられりゃ皆々出かける中間(ちゅうげん)小者(こもの)に劣った了簡(りょうけん)引っこみ思案は泰平な時だよこれほど励まし、わけがわからにゃ虫ともなんとも言い様がござらぬ残らず揃って両国橋から身でも投げるか豆腐で天窓(あたま)を叩き壊していッそ死んだが何よりましだろスチャラカ チャカポコスチャラカ チャカポコ大関兄さん、お前が頼みだピンピンやらかせあとの奴等は頼むに足らない玄蕃(げんば)の水汲み読書が足らない漢字ばかりじゃ叶(かな)わぬ世の中翻訳本でも見たらばよかろう平岡丹州、石川、京極、立花なンぞは蛆虫(うじむし)同様外夷に笑われ京都はしくじる金がなくなる、世の中乱れるお口はすくなるここらで一ト口、湯でも呑むベイスチャラカ チャカポコチャカポコ スチャラカスチャスチャ チャカチャカチャカポコ チャカポコスチャラカ チャカポコチョボクレとなり、チョンガレとなり、阿房陀羅経(あほだらきょう)となって、あいの手には木魚をあしらい、願人坊主即ち浮かれ坊主となって、この長物を唄い済ました方も済ましたものだが、聞く方もよく聞いたものだ...
中里介山 「大菩薩峠」
...彼等には周囲からは得られないおべっかが...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...偉大で金持ちになりたいと望むなら、嘘をつき、身を屈し這いつくばり、また立ち上がり、おべっかを使い、本心を隠そうと決意したんじゃないのか? 嘘つきや根性曲がりや這いつくばっていた連中の下僕になることに同意したんじゃないのか? 連中の共謀者になるためには、まず連中に尽くさねばならない...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...おべっか使いの廷臣達にかこまれて...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...おべっかりがあんまり過ぎて...
三宅花圃 「藪の鶯」
...わたしはおべっかつかいに見えるのが死ぬほどいやである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いや不徳さえ、おべっかや、とりもちや、裏切りさえ、財宝でもって報いられるではないか...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...だが馬という奴はおべっかをつかうことも知らないし朝臣でもないから...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...あのおべっか野郎はうすぎたねえちくしょうで...
山本周五郎 「さぶ」
...べつにおべっかを遣うようなこたあねえつもりなんだが」しかし信用されてみれば悪い気持ではないし...
山本周五郎 「泥棒と若殿」
...非難というよりはまあおべっかみた様なものさ...
山本周五郎 「陽気な客」
...つまり現在の人間がやっているおべっかやお追従(ついしょう)は...
夢野久作 「鼻の表現」
...おいらにおべっかを使うな...
吉川英治 「神州天馬侠」
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