...「おう誰かと思ったら、おちかどんかい、お前朝草刈をするのかい、感心なこったねい」おれがこう云って立ち止まると、「馴れないからよく刈れましね、荒場のおじいさんもたいそうお早くどこへいきますかい」そう云って莞爾(にっこり)笑うのさ、器量がえいというではないけど、色が白くて顔がふっくりしてるのが朝明りにほんのりしてると、ほんとに可愛い娘であった...
伊藤左千夫 「姪子」
...こちらへまゐりましてからまだしみじみおちついた気持になれないうちに東京からは後から/\いろ/\な面倒なことを言つて来たり何かして本当によはりきつて居ます 其為めにまだ何所へも手紙らしい手紙もかけずに原稿もかけず何にも手につきません...
伊藤野枝 「消息」
...俄(にわ)かに評判がおちた...
海野十三 「宇宙戦隊」
...ことごとく焼け死ぬか海へおちてでき死するかして...
鈴木三重吉 「大震火災記」
...あんな風にして疑いをそらすなんてことはだれも考えていませんでした」「ところで」とブラウン神父はおうようにおちついて言つた……「あなたは話の最初に狂信者を持ち出しましたな……狂信者ならどんなことでもやりかねないというお話でした...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「手早い奴」
...垢ばかりおちる』此の特徴が出て居ります...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...彦田(ひこた)は」「ああすっかり零落(おちぶ)れてしまいました...
徳田秋声 「挿話」
...大違(おおちげ)えだ」「お前さんの御親類かね」「ばかにしちゃあいけねえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...梅遠近(おちこち)南(みなみ)すべく北すべく閑古鳥寺見ゆ麦林寺とやいふ山人は人なり閑古鳥は鳥なりけり更衣(ころもがえ)母なん藤原氏(うじ)なりけり最も奇なるはをちこちをちこちと打つ砧(きぬた)かなの句の字は十六にして調子は五七五調に吟じ得べきが如き...
正岡子規 「俳人蕪村」
...五羽も同時に鳴いたならば恐らくは落人(おちうど)を驚かすであらう...
正岡子規 「病牀六尺」
...細いおちついた眉があり...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...継母(ままはは)にいじめられる可哀(かわい)そうな落窪(おちくぼ)のお話を他人事(ひとごと)とは思わずに身にしみて...
水上滝太郎 「山の手の子」
...おちついた静かな座敷は気持は楽だった...
山本周五郎 「初蕾」
...おちくぼんだ両眼は膜をかぶったように濁っていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...猛烈に腐敗した食餌の落零(おちこぼ)れの発酵瓦斯(がす)で...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...おちつかれたようであった...
吉川英治 「私本太平記」
...伊東祐親(いとうすけちか)の息女と恋におちて子までもうけた事があり...
吉川英治 「源頼朝」
...水落寺(みずおちでら)の隣り地で...
吉川英治 「宮本武蔵」
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