...恍惚(うっとり)と松の梢に藤の紫を思ったのが...
泉鏡花 「瓜の涙」
...彼はうっとりとなって妹のことを考えていたが...
田中貢太郎 「雀が森の怪異」
...私は暫くうっとりと見上げて居たが...
谷崎潤一郎 「少年」
...一種の温味(おんみ)にうっとりとなって快感(かいかん)を以て蛇の喉(のど)を下るのだ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...ついうっとりとした気持になっていった...
豊島与志雄 「狐火」
...酔ってうっとりしてる彼を...
豊島与志雄 「山上湖」
...うっとりと眠りかけてるようでした...
豊島与志雄 「椎の木」
...うっとりと心で微笑みかけていた...
豊島与志雄 「月かげ」
...うっとりと失神状態に陥ったところを...
中里介山 「大菩薩峠」
...ロッティは恍惚(うっとり)となってしまいました...
フランセス・ホッヂソン・バァネット Frances Hodgeson Burnett 菊池寛訳 「小公女」
...傍(かたわら)にある静かな水の姿が彼をうっとりと涙ぐまそうとする...
原民喜 「火の唇」
...しばらくうっとりとしていたが...
平林初之輔 「人造人間」
...畏(おそ)ろしい思をしているのか?恍惚(うっとり)とした顔に映る内の想(おもい)が無いから...
二葉亭四迷 「浮雲」
...ふと何処かから優しい歌の一節でも聞えて来たかのように暫くうっとりとして自分の頭上の樺の枝の網目を見上げていた彼の姿だけが残った...
堀辰雄 「菜穂子」
...政治犯への同志からの常例の融通本!)この方はおそまつな脳液でしかしもっとよく消化し乍ら僕はうっとり空想してゐた外では この汁液が脳液になるためにどんなに多くの胃の腑と肺臓が悩まされどんなに多くの手がふるえ 目がくらみ飢餓の廃絶への進軍ラッパが工場の隅々から吹きならされてゐるかあらゆるものを消化する自由の胃の腑はあらゆる人民の胃の腑の自由と共にこうした 二つの世界の二重の牢獄に遠からず来るだらう...
槇村浩 「長詩」
...うっとりと村の方に見とれながら言った...
室生犀星 「みずうみ」
...義貞はうっとり思(おも)い耽(ふけ)っていた...
吉川英治 「私本太平記」
...その間(かん)は無心な燈火(ともしび)さえうっとりとしているのであった...
吉川英治 「親鸞」
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