...いきなり繰り戸をあけてデッキに出た...
有島武郎 「或る女」
...いきなり朋輩の男に殴られた...
池谷信三郎 「忠僕」
...突然(いきなり)土間へ飛び下りて...
石川啄木 「二筋の血」
...帆村がいきなり突拍子もない質問をした...
海野十三 「獏鸚」
...」小林君はそういいながら、人さしゆびをグッとのばして、いきなり、明智の左の目にちかづけました...
江戸川乱歩 「超人ニコラ」
...幸一君は、ものもいわず、いきなり、おうちの方へかけだしました...
江戸川乱歩 「鉄人Q」
...」と景気のいい事ばかり言い、それから近所の職人仲間と相談の上、われひと共にいそがしき十二月二十六日の夜、仲間十人おのおの金子(きんす)十両と酒肴(しゅこう)を携え、徳兵衛の家を訪れ、一升桝(ます)を出させて、それに順々に十両ずつばらりばらりと投げ入れて百両、顔役のひとりは福の神の如(ごと)く陽気に笑い、徳兵衛さん、ここに百両あります、これをもとでに千両かせいでごらんなさい、と差し出せば、またひとりの顔役は、もっともらしい顔をして桝を神棚(かみだな)にあげ、ぱんぱんと拍手(かしわで)を打ち、えびす大黒にお願い申す、この百両を見覚え置き、利に利を生ませて来年の暮には百倍千倍にしてまたこの家に立ち戻(もど)らせ給(たま)え、さもなくば、えびす大黒もこの金横領のとがにんとして縄(なわ)を打ち、川へ流してしまいます、と言えば、また大笑いになり、職人仲間の情愛はまた格別、それより持参の酒肴にて年忘れの宴、徳兵衛はうれしく、意味も無く部屋中をうろうろ歩きまわり重箱を蹴飛(けと)ばし、いよいよ恐縮して、あちらこちらに矢鱈(やたら)にお辞儀して廻(まわ)り、生れてはじめて二合以上の酒を飲ませてもらい、とうとう酔い泣きをはじめ、他の職人たちも、人を救ったというしびれるほどの興奮から、ふだん一滴も酒を口にせぬ人まで、ぐいぐいと飲み酒乱の傾向を暴露して、この酒は元来わしが持参したものだ、飲まなければ損だ、などとまことに興覚めないやしい事まで口走り、いきな男は、それを相手にせず、からだを前後左右にゆすぶって小唄(こうた)をうたい、鬚面(ひげづら)の男は、声をひそめて天下国家の行末を憂(うれ)い、また隅(すみ)の小男は、大声でおのれの織物の腕前を誇り、他のやつは皆へたくそ也(なり)とののしり、また、頬被(ほおかぶ)りして壁塗り踊りと称するへんてつも無い踊りを、誰(だれ)も見ていないのに、いやに緊張して口をひきしめいつまでも呆(あき)れるほど永く踊りつづけている者もあり、また、さいぜんから襖(ふすま)によりかかって、顔面蒼白(そうはく)、眼(め)を血走らせて一座を無言で睨(にら)み、近くに坐(すわ)っている男たちを薄気味悪がらせて、やがて、すっくと立ち上ったので、すわ喧嘩(けんか)と驚き制止しかかれば、男は、ううと呻(うめ)いて廊下に走り出て庭先へ、げえと吐いた...
太宰治 「新釈諸国噺」
...いきなり抱きかかえて一室の中へ入って往った...
田中貢太郎 「愛卿伝」
...処がこの我も汝もいきなり何等の媒介者なしに無の場所から浮き出て来ているもので...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...いちばんあとからついていきながら...
新美南吉 「嘘」
...いきなり闇の中から飛出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あんなバカが操縦士をやっていると知ってたら、日航なんか、乗らなかったわ」そういうと、いきなり、すり寄ってきて、白川の首に腕を巻きつけた...
久生十蘭 「雲の小径」
...彼れはいきなり一面識もないラ氏に色々の慰撫的(いぶてき)な言葉をかけた...
松永延造 「ラ氏の笛」
...或る日、ルンペン風の男が近づいて来て、いきなり、「をぢさん、ハンコ刻(ほ)つておくれよ」といふ...
宮地嘉六 「老残」
...帰帆はいきな送り舟その爪弾きの糸による...
三好十郎 「斬られの仙太」
...しかもある松はいきなり倒(たお)れかかるような位置をつづけ...
室生犀星 「生涯の垣根」
...新之助へいきなり食ってかかる事は...
吉川英治 「鍋島甲斐守」
...頼朝は馬上から一瞥(べつ)を与え、「亀ヶ谷(かめがやつ)とはどこか」と、いきなり訊ねた...
吉川英治 「源頼朝」
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