...いかさまの目ばかり装(も)った...
泉鏡花 「浮舟」
...“いかさまだ”というのはよく分らなかったが...
海野十三 「断層顔」
...いかさまこれならば伏見(ふしみ)から船でお下(くだ)りになってそのまま釣殿の勾欄(こうらん)の下へ纜(ともづな)をおつなぎになることも出来...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...幸子のように上方に生れて関東の地を蹈むことの稀な者が富士山に寄せる好奇心は、外国人がフジヤマを憧憬(どうけい)するのにも似て、東京人の想像も及ばないものがあるので、彼女が特にこのホテルを選んだのも、フジ・ヴィウと云う名に惹(ひ)かされた訳であったが、いかさま、此処へ来て見ると、富士はこのホテルの正面玄関と相対して、眉(まゆ)を圧するばかりの距離に迫っていた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...いかさま辞世の一首があるべきだと云うので...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...そうすればもとのままの白銀だということが分りますから」「えッ! これあ驚きましたな!」「あるいかさま師の手に入っていたのを見つけ出して...
コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 「白銀の失踪」
...然し看板(かんばん)を出した慾張り屋の与右衛門さんは、詐を云わぬ、いかさまをせぬ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...余り、大作を恐れすぎている」「いいえ、本当に――」「その時は、青銅製で、嚇かしておいて、これで又、嚇かそうと、――元来、彼、相馬大作の先生、平山行蔵なる代物が、いかさま学者で、奇を売物にしているのだからのう」と、いった時「退け退け」と、いう声がして、供を先に、後に、裏金陣笠の侍が、草の中から胸を出して、近づいてきた...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...いかさま博奕(ばくち)までやるやうになりました」「――」「尤も...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...銅六はいかさまの河童の見世物まで用意し...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...いかさま堕落した浦島太郎のようである...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...殊に社會主義運動に古い歴史を有する歐米諸國ではこの種のいかさま者が風向次第で社會主義者になつたり...
平林初之輔 「中西氏に答う」
...あんた誰? いかさま告発人ですかい」こう言って...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「玉手箱」
...いかさまこの中の頭領(かしら)と見えた...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...なおも念じつづけているであろうよ」「いかさま...
吉川英治 「私本太平記」
...さっきはよくも蛾次郎さまの金を、いかさまごとで、巻きあげやがったな...
吉川英治 「神州天馬侠」
...いかさま博奕(ばくち)の立番(たちばん)までやって...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...福生の部屋まで担(かつ)いで行った」「いかさまは食うし...
吉川英治 「野槌の百」
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