...いい年をして娑婆気(しゃばっけ)な...
泉鏡花 「歌行燈」
...蜜を彼女は、焼けば焼くほどチリチリに縮みあがる肉の上に注ぎながら、「いい年をして、十六七の娘と一緒に踊ってもいられませんわ」そう言うと、まるで容器にあたるみたいに、ガチャリと乱暴にそれを置いた...
高見順 「如何なる星の下に」
...故郷いい年をしてホームシツクでもありますまい...
竹久夢二 「砂がき」
...意地の悪そうな、下品な女中に案内されて二階に上り、部屋に通されて見ると、私は、いい年をして、泣きそうな気がした...
太宰治 「東京八景」
...いい年をして大えばりで書いて...
太宰治 「如是我聞」
...もう生きた心地はせん! いい年をして...
橘外男 「雷嫌いの話」
...私という人間はいい年をしてよほどの...
橘外男 「雷嫌いの話」
...でも、あの方は今に始まったことじゃないけれど、一体どうなすったの、あなたは、いい年をして、おかしいわ...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「ワーニャ伯父さん」
...ここへ帰らなけりゃどこへ泊るんです」「どこだか知りません」「いい年をして...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ちぇッ、わたしといったら、自分ながら業が煮えてたまらない、一から十までわかりきっていながら、いい年をして、ついこんな抜かりをしでかすなんて、愛想がつきたものさ、ここを押せばここがハネるくらいのことを、御存じないお角さんじゃないのに、ちぇッ、いやになっちゃあなあ」こう言って、お角は、焦(じ)れったがって、お銀様の前で使う、あそばせ言葉とは全く違った地金の棄鉢を見せました...
中里介山 「大菩薩峠」
...いったい、あのおばさんのどこが、イヤなおばさんなのでしょう」「うむ――どこといって聞かれては、わしにもわからないがね、いい年をして、若い男を可愛がるなんぞは、ずいぶん、イヤなおばさんの方じゃないか」「浅吉さんのことですね……ですけれどもね、年上の女の人が、若い男を可愛がるのはいけないことか知ら...
中里介山 「大菩薩峠」
...物事はそう取越し苦労ばっかりするもんじゃねえ、神仏がいいようにして下さらあ、縁は異なもの味なもので、人間業に行って行かねえやつなんだ、早い話が、甲府勤番支配駒井能登守が、この大海原の真中の離れ島の椰子の木の下で、おれの娘分のお松と出来合うなんていうことが、仏様だってあらかじめ御存じのある事じゃあるめえ、それと同じことに、あの娘だって、どうしようの、こうしようのと、おれがここでやきもき思ったからとて、どうなるものか、冗談は言いっこなし、いい年をして、そんなことができるかい、そんなことをしようものなら、みんなの示しがつくと思うかい、なに、駒井の親玉でさえもあれじゃないか、お前のはそれよりもっと素姓がいいんだぜ、村方総出で許されて来たんだぜ、あの時、村方の者が何と言った...
中里介山 「大菩薩峠」
...いい年をして、まだそんな下らない事を考えているのか...
中島敦 「狼疾記」
...いい年をしててんで圓太郎は口が利けなかった...
正岡容 「小説 圓朝」
...いい年をして手荒な真似(まね)をする事もねえと我慢してやったのさ...
水上滝太郎 「遺産」
...」「いやだよ、いい年をしてさ...
室生犀星 「蜜のあわれ」
...いい年をして、ひとの私生活を嗅(か)ぎまわったり、それを密告したりするとはひどい人だ...
山本周五郎 「花も刀も」
...おれも元よりいい年をして...
吉川英治 「江戸三国志」
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