...まだ可哀(あわれ)なのはね...
泉鏡花 「印度更紗」
...世にもあわれな人間とも思われる...
伊藤左千夫 「箸」
...憐(あわれ)むべきかなヨブ! 彼は神に攻められつつありと感じて...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...平常つまらないと思っていたあわれな蔓草(つるくさ)までも威厳をもって紅葉する...
高村光太郎 「山の秋」
...」と僕をあわれむような口調で言って...
太宰治 「パンドラの匣」
...あわれ此の品を薬師寺殿の御一族にお返し申す折もあらばと考えながら...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...ジャン・プルーヴェールは情緒(じょうちょ)深く、鉢植(はちう)えの花を育て、笛を吹き、詩を作り、民衆を愛し、婦人をあわれみ、子供のために泣き、未来と神とを同じ親しみのうちに混同し、気高き一つの首を、すなわちアンドレ・シェニエの首をはねたことを、革命に向かって難じていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...聖(セント)マリア! どうぞわたくしをあわれとおぼしめしてください...
ホーソーン Nathaniel Hawthorne 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...「わしは、そなたの母御が、好きであったのだ――どうにもして、わがものにしたかったのだ――それは、いいことではなかった――わるいことであった――が、わしが、そなたの母御を、忘れかねたのは、ほんとのことじゃ――いつわりではない――」「母は、父親の女房だったのでござります――それを、言うことを聴きさえすれば、松浦屋を、つなぎとめるの、つぶすのと、くるしめ、いじめ――とうとう、あわれな母は、舌を噛んで、こう舌を噛んで亡(う)せたのでござりますぞ――」「ゆ、ゆるしてくれ、雪之丞――ゆるしてくれ! ああ、今ぞ思い当ったぞ――この一ヵ月に、思いもよらず、長崎以来一党の滅亡――さては、そなたの呪いであったのだな――」三斎隠居は、部屋の隅に、追いつめられたようになって、目を両手でふさごうとする...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あわれなさけび声をあげました...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...「あわれむべし大月玄蕃! 不憫や魔道に落ちて救われざる似非(えせ)剣客...
吉川英治 「剣難女難」
...高氏は一そう女があわれまれた...
吉川英治 「私本太平記」
...……このあわれを誰よりもよく知って...
吉川英治 「私本太平記」
...味方の援けなど思いもよらぬところ――わが身もまたこの通り捕われ候に――あわれ方々も観念あって速やかに城を開いて出で給え...
吉川英治 「新書太閤記」
...あわれな変り方を見せていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...あわれむべき盲策(もうさく)の持主...
吉川英治 「新書太閤記」
...で範宴は、師の房が、遠流(おんる)になろうとも、あくまで正義を歪(ま)げないようにと心に祷(いの)り、今も、暗黙のうちに、師弟の心がまえを固めてきたところであるが、こうして、慈円の弟子や知己や、和歌の友人たちが、一室のうちに憂いの眉をひそめたり嘆息をもらして胸を傷(いた)めあっている状(さま)を見ると、あわれにも思い、また師の老齢な体なども思われて、むげに、自己の考え方を主張する気にもなれなかった...
吉川英治 「親鸞」
...しかしあわれに少年は縋(すが)るのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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