...肩の籠(かご)からあふれる花を...
上田敏 上田敏訳 「牧羊神」
...道路にあふれる死屍と傷兵を見捨て花田中尉は住民(シビリアン)の女の肩につかまり...
梅崎春生 「日の果て」
...聴衆も堂にあふれるばかりで...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...それで往生安楽国!・夏めいた灯かげ月かげを掃く・障子に箒の影も更けて・わいてあふれるなかにねてゐる・生えてあやめの露けく咲いてる□・重さ...
種田山頭火 「行乞記」
...・春雨の夜あけの水音が鳴りだした・唱へをはれば明けてゐる・朝の雨にぬれながらたがやす・白さは朝のひかりの御飯・ぬれてしつとり朝の水くむ・水にそうて水をふんで春の水・春はゆく水音に風がさわいで・春の水のあふれるままの草と魚・晴れて旗日や機械も休んでゐる(追加)・蕗の皮がようむげる少年の夢誰かきた声がする...
種田山頭火 「其中日記」
...あふれる熱い湯に浸つて...
種田山頭火 「旅日記」
...筆力のあふれるままにグングン筆を走らせた...
南部修太郎 「氣質と文章」
...彼は昔のあふれるばかりのものが蘇ってくるのを夢みるのだった...
原民喜 「美しき死の岸に」
...大庭春吉の声は、さらに、熱にあふれる...
火野葦平 「花と龍」
...昨夜旅商人の宿つて今朝早く立つていつた小さい隣の室にさへあふれる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...あふれるほどふんだんに微笑(ほゝゑ)みを送られてゐるので...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...両腕にあふれるやうな外套であつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...」粗い竹籠の中からあふれるように出て来たのを手にのせて...
水上滝太郎 「果樹」
...小者はみな裸体になってあふれるほど汲んだ二つの手桶を天びんにかついで...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...翳に埋れ翳に支へられその階段はどこへ果ててゐるのかはかなさに立ちあがりいくたび踏んでみたことだらうものいはず濡れた肩や失はれたいのちの群をこえけんめいにあふれる時間をたどりたかつたあてもない歩みの遅速のままにどぶどろの秩序をすぎもはや美しいままに欺かれうつくしいままに奪はれてゐたしかし最後の膝に耐えこみあげる背をふせはげしく若さをうちくだいて未完の忘却のなかからなほ何かを信じようとしてゐた...
森川義信 「衢にて」
...おせんの胸はあふれるような説明しようのない感動でいっぱいだった...
山本周五郎 「柳橋物語」
...すくなくも当日は何十万人が洛中洛外にあふれることだろうといわれて...
吉川英治 「私本太平記」
...滾々(こんこん)とあふれる神泉をもう一柄杓(ひとひしゃく)掬(すく)って...
吉川英治 「新書太閤記」
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