...道路にあふれる死屍と傷兵を見捨て花田中尉は住民(シビリアン)の女の肩につかまり...
梅崎春生 「日の果て」
...何か焦げるにほひの・こゝまではあるけたところで熱い温泉(ユ)がある(山口へ)・あかるくあつくあふれる湯にひたりおもひで(湯田入浴)・惜しみなくあふるゝよながるゝよ(途上即事)・街からついてきた蠅で打つ手は知つてゐるゆふべおもむろに蠅は殺された・打つ手を感じて蠅も私もおちつかない草が青うてどこかの豚が出て遊ぶ・よい湯あがりのはだかであるく雑草の風(追加)五月廿四日すばらしいお天気のつゞくことである...
種田山頭火 「其中日記」
...圧倒的に盛りあふれる今日の現実問題を...
戸坂潤 「科学論」
...心がいっぱいになってあふれるほどになると...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...突然青春の気が満ちあふれる...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...如何にも涼しさのあふれる名品である...
中谷宇吉郎 「桂浜」
...ひといきで涙のあふれるところだつたので吻つとして小声でリンゴの唄をくちずさむ...
林芙美子 「愛する人達」
...涙があふれる...
林芙美子 「新版 放浪記」
...涙は頬にあふれる...
原民喜 「魔のひととき」
...茫洋たる音楽のみどりに触れあう はるかな蜃気楼の奥深くかれは眠るあふれる香髪(においがみ)のみだれ巻いて溺れるあたりとおく水平線の波間にさ青の太陽は溶けこむ...
原口統三 「初期詩篇」
...フランス中に寡婦や未亡人が満ちあふれるであろうから...
久生十蘭 「青髯二百八十三人の妻」
...その中にあふれるばかりの水をひっそりと湛(たた)えていた...
久生十蘭 「地底獣国」
...そして音楽が空間にみちあふれると...
アルジャナン・ブラックウッド 森郁夫訳 「秘密礼拜式」
...アイスランドにそんな暖いお湯のあふれるところがあるなんて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...涙にあふれる淋しさがある...
柳宗悦 「民藝四十年」
...あふれるような艶(つや)やかさは...
山本周五郎 「契りきぬ」
...あふれるような緊張と...
山本周五郎 「山彦乙女」
...雨樋(あまどい)をあふれる雨だれの音が烈しく軒下を打つ...
吉川英治 「上杉謙信」
便利!手書き漢字入力検索