...あふれるばかりに白い花をつけていた...
石川欣一 「山を思う」
...花田の眼の中に絶望の色があふれるのを宇治は見た...
梅崎春生 「日の果て」
...そして樋をあふれる水...
種田山頭火 「行乞記」
...雀よ雀よ御主人のおかへりだ(緑平老に)香春をまともに別れていそぐ別れてきた荷物の重いこと別れてきて橋を渡るのである靄がふかい別れであつたひとりとなつてトンネルをぬけるなつかしい頭が禿げてゐた(緑平老に)・塵いつぱいの塵をこぼしつゝゆく石をきざみ草萠ゆる若葉清水に柄杓そへてある・住みなれて筧あふれる・あるけばきんぽうげすわればきんぽうげ□・衣がへ...
種田山頭火 「行乞記」
...・近道の近道があるをみなへし・こゝから下りとなる石仏・山の朝風の木が折れてゐる・ほんにうまい水がある注連張つてある・どうやら道をまちがへたらしい牛の糞・住めば住まれる筧の水はあふれる近道近かつた石地蔵尊うらは蓮田で若いめをとで・はだかではだかの子にたたかれてゐる・波音のガソリンタンクの夕日・一切れ一銭といふ水瓜したたる八月十日朝の山を眺めながら朝酒を味はつた...
種田山頭火 「行乞記」
...・生きてゐるもののあはれがぬかるみのなか・いつも馬がつないである柳萠えはじめた・猫柳どうにかかうにか暮らせるけれどぬくい雨でうつてもついても歩かない牛の仔で・焼芋やいて暮らせて春めいた・監獄の塀たか/″\と春の雨ふる・病院の午後は紅梅の花さかり・ずんぶりと湯のあつくてあふれる(湯田温泉)・早春...
種田山頭火 「其中日記」
...ちつとも雲がない山のよろしさ・おもひでは山越えてまた山のみどり刑務所の高い塀から青葉若葉千人風呂ま昼ひろくて私ひとりにあふれる湯ぞんぶんに湧いてあふれる湯をぞんぶんに・ちんぽこもおそそも湧いてあふれる湯駅所見初夏の牛どもよ載せられてどこへ行く・こんなに晴れた日の猫が捨てられて鳴く五月廿七日晴...
種田山頭火 「其中日記」
......
種田山頭火 「草木塔」
...厭はしい一日の課業をすませて家へ帰つて遊ぶときにはお互の胸にいひしらぬ楽しさと慰めのあふれるのをおぼえた...
中勘助 「銀の匙」
...鴉毛の婦人やさしい鴉毛の婦人よわたしの家根裏の部屋にしのんできて麝香のなまめかしい匂ひをみたす貴女はふしぎな夜鳥木製の椅子にさびしくとまつてその嘴(くちばし)は心臟(こころ)をついばみ瞳孔(ひとみ)はしづかな涙にあふれる...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...交叉点にあふれる夕の鎮魂歌……...
原民喜 「鎮魂歌」
...フランス中に寡婦や未亡人が満ちあふれるであろうから...
久生十蘭 「青髯二百八十三人の妻」
...川から吹き上げる嵐気が室にあふれる...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...がっちりとした精気あふれる顔のぐるりを房飾りのようなすき間ない鬚で囲われた風貌である...
宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
...彼は常にそれらの罪のない純真な土人にあふれる同情を注ぎ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...若さと命のあふれるような躰...
山本周五郎 「追いついた夢」
...二日二晩の鬱積した激情にあふれる百四十ポンドの怒りをまつすぐにぶつつけていつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...次には画面にあふれる気分の清浄化透明化である...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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