...が、あの辺は家々の庭背戸が相応に広く、板塀、裏木戸、生垣の幾曲り、で、根岸の里の雪の卯(う)の花、水の紫陽花(あじさい)の風情はないが、木瓜(ぼけ)、山吹の覗かれる窪地の屋敷町で、そのどこからも、駿河台(するがだい)の濃い樹立の下に、和仏英女学校というのの壁の色が、凩(こがらし)の吹く日も、暖かそうに霞んで見えて、裏表、露地の処々(ところどころ)から、三崎座の女芝居の景気幟(のぼり)が、茜(あかね)、浅黄(あさぎ)、青く、白く、また曇ったり、濁ったり、その日の天気、時々の空の色に、ひらひらと風次第に靡(なび)くが見えたし、場処によると――あすこがもう水道橋――三崎稲荷(いなり)の朱の鳥居が、物干場の草原だの、浅蜊(あさり)、蜆(しじみ)の貝殻の棄てたも交る、空地を通して、その名の岬に立ったように、土手の松に並んで見通された...
泉鏡花 「薄紅梅」
...雁(がん)これを見ればまづ二三羽(ば)こゝにをりて己(おのれ)まづ求食(あさり)...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...毎日日課として、八種ほどの田舎新聞の続き物を何の苦もなく書上げ、その上道頓堀の芝居見物や、古本あさりや、骨董いじりなどに、一日中駈けずり廻って、少しの疲労をも見なかったほど達者な人だったが、歿くなる折には、まるで朽木が倒れるように、ぽくりと往ってしまった...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...ここの草のなかをあさり歩いてゐた頃から持ち伝へた「知られぬ感性」に相違なかつた...
薄田泣菫 「独楽園」
...空の高みから餌をあさりに水田の中へ下りて来た...
薄田泣菫 「独楽園」
...すべて食べものをあさりに来たものとして軽蔑して取扱ふやうになつたといふ噂も聞いた...
太宰治 「津軽」
...ただ鳥のあさり歩く道があるばかりであった...
蒲松齢 田中貢太郎訳 「嬰寧」
...所々方々とあさり歩いた...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...魚や肉などは余りに買わないで多くは浅蜊(あさり)や蛤(はまぐり)または鰯売り位を呼込んで副菜にし...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...『日本家居秘用(にほんかきょひよう)』なぞいふ類(たぐい)の和漢の書取出して読みあさり...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...この男はこっとうあさりばかりではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...虎は夜でなければ餌をあさりに出掛けないこと...
中島敦 「虎狩」
...不運な職業にばかりあさりつく私...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...腐肉あさりもする...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...潟からは淺蜊(あさり)や蜆(しじみ)や蛤(はまぐり)がよく獲れて...
正宗白鳥 「入江のほとり」
...もろもろの書物の中に知識をあさりにゆき...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...たくのさもしい女あさりだけは止めよ...
吉川英治 「新書太閤記」
...どうしてどうして温泉宿の勝手口の裏にもよく餌をあさりに来るという...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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