...ましてこういう晩にこういう場所にうずくまっていると人間のいとなみのあとかたもなく消えてしまう果敢(はか)なさをあわれみ過ぎ去った花やかな世をあこがれる心地(ここち)がつのるのである...
谷崎潤一郎 「蘆刈」
...△ △ △△華やかな春にあこがれていられる石花菜君の若々しい感情を祝福する...
種田山頭火 「雑信(二)」
...恋にあこがれ、ロオマンスにあこがれ、また人生にあこがれたその女の心は、今も猶さうした亡くなつた子の悲哀に微かに震へてゐるのであつた...
田山録弥 「ある日」
...いつまであこがれていたッてしかたがない...
田山花袋 「田舎教師」
...彼らは神にあこがれる...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...公園の写生は美へのあこがれをふたたび呼びさましました...
永井隆 「ロザリオの鎖」
...相互(さうご)に其(その)青春(せいしゆん)のつやゝかな俤(おもかげ)に憧憬(あこがれ)しめるのに...
長塚節 「土」
...異常のあこがれや欲求を持つという事なのです」「そんな事もあるでしょうね...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...その氷山の嶋嶋から、幻像(まぼろし)のやうなオーロラを見て、著者はあこがれ、惱み、悦び、悲しみ、且つ自ら怒りつつ、空しく潮流のままに漂泊して來た...
萩原朔太郎 「氷島」
...何となく家庭らしさをあこがれて来たようなあいまいな気持ちばかり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...一人ぽっちの私は恋のようにあこがれた...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...生命のあこがれが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...恋しい父君のためにほしいとあこがれていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...――見ぬ恋にあこがれていた...
山本周五郎 「風流太平記」
...あこがれ願っているのでございます...
夢野久作 「暗黒公使」
...何(なん)のあてなくあこがれて若さに逸(はや)るたましひをじつと抑(おさ)へる心もち...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...あこがれる若殿輩(わかとのばら)もあるが...
吉川英治 「源頼朝」
...永年あこがれてゐた山の國信州へ來たといふので...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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