...年中あくせくとして歳月の廻るに支配されている外に何らの能事(のうじ)も無い...
伊藤左千夫 「水害雑録」
...これまであくせくと考へたり...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...熟々(つら/\)考(かんが)ふるに天(てん)に鳶(とんび)ありて油揚(あぶらげ)をさらひ地(ち)に土鼠(もぐらもち)ありて蚯蚓(みゝず)を喰(くら)ふ目出度(めでた)き中(なか)に人間(にんげん)は一日(いちにち)あくせくと働(はたら)きて喰(く)ひかぬるが今日(けふ)此頃(このごろ)の世智辛(せちがら)き生涯(しやうがい)なり...
三文字屋金平 「為文学者経」
...年中あくせくとして何が面白いのであるか...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...あくせくと針仕事やお洗濯をして...
太宰治 「鉄面皮」
...昼だけの単調な世界に一生あくせくとしていて...
田中貢太郎 「涼亭」
...あくせくと歩いていた...
寺田寅彦 「小さな出来事」
...あくせくと世事に心を煩わして過ごし...
中島敦 「狼疾記」
...鷄介はあくせくとして...
林芙美子 「あひびき」
...誰も彼も日本人なぞには見むきもしてゐない土地で、日本人は蟻(あり)のやうに素早く、あくせくと、人の土地を動きまはつてゐるだけだ...
林芙美子 「浮雲」
...あくせくとして骨を折つても...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...あくせくとその日ぐらしの我なり...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...ほんとになんにも知らないであくせくと……けれども...
水野仙子 「響」
...しかもあくせくとあせりもせず自然に解決される時を待っていた点で...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...それまで十七年間にわたってあくせくと他人のために働いて来たモンテーニュの...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...身ぢかな人たちの、ただあくせくと、その日の暮しに追われているさまを見るたびに、半之助は殆んど呻きたくなるくらいに、こう思った...
山本周五郎 「山彦乙女」
...あくせくと働くばかりの人間として終るだろう...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...あくせくと、下界の生業(たつき)に追われている人々は、その全姿を眼に仰ぐせつなのみ、ああ、富士...
吉川英治 「新書太閤記」
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