...Bさんは生憎(あいにく)五六日前からマラリア熱に罹(かか)っている...
芥川龍之介 「湖南の扇」
...あいにく要塞の側面から発する数十条のつよい照明灯がまぶしく目を射て...
海野十三 「太平洋魔城」
...今日はがっかりして遊びたいが生憎(あいにく)誰もこない...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...ほんとうに生憎(あいにく)のことでございました」と茂十さんは縁側で煙管(きせる)をコンコンとはたいた...
橘外男 「逗子物語」
...生憎(あいにく)雨が降り出したのとで...
谷崎潤一郎 「細雪」
...生憎(あいにく)なことに車の中は真っ暗で...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...リヽーがゐる筈の隅ツこの方は生憎(あいにく)真つ暗で何も見えない...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...そこで、二の足を踏みながら、万一その女王が、外出でもする機会はないか、女王でないまでも、つかまえて物を尋ねるキッカケをつくってくれる御用聞のたぐいでもと、暫く、行きつ戻りつしてみたが、あいにく、人の出入りはほとんど打絶えた門、ほとんど開(あ)かずの門かと疑われるほどでしたが、「光仙林」とものした表札の、目立たぬけれども新しいことによって見ても、最近に人が住みつつあるということは、疑うべくもありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...いっこう存じませんで」「だいぶ降ったね」「あいにくな御天気で...
夏目漱石 「草枕」
...車はおらんかなと四方を見廻したが生憎(あいにく)一輌もおらん...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...こんな部屋はいやだと云ったらあいにくみんな塞(ふさ)がっておりますからと云いながら革鞄を抛(ほう)り出したまま出て行った...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...あいにく有りませんと云う答である...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...ことに金のことなどと来た日にゃ――」「生憎(あいにく)ねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...相憎(あいにく)の月夜...
野村胡堂 「裸身の女仙」
...無償(ただ)だから手に入れ易いというものだ」「ところが生憎(あいにく)なんです」「何が生憎だ」「父が弱かったせいか...
吉川英治 「醤油仏」
...ひとまず宿をとりたいのだが」「そいつは生憎(あいにく)だ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...あいにくのおりと...
吉川英治 「随筆 新平家」
...旦那」「うるさい奴じゃな」「あいにくと...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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