...肝腎(かんじん)の篤介(あつすけ)の姿は生憎(あいにく)この部屋には見当らなかった...
芥川龍之介 「春」
...いや生憎(あいにく)の雨...
泉鏡花 「縁結び」
...ノラ あなたは、こゝに坐つたまゝ私を待つてたの?リンデン えゝ、あいにくと私、遲くきてしまつたのですよ...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...生憎(あいにく)その池田出羽が...
江見水蔭 「備前天一坊」
...あいにくとこの日は看護婦が言って...
高見順 「いやな感じ」
...だが僕はその時あいにく写真を撮(と)っていなかった...
太宰治 「惜別」
...あいにく主人夫婦も不在らしいから...
辰野隆 「二人のセルヴィヤ人」
...生憎(あいにく)昨日よりも濃くなっているのであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...○店頭に見本を掲げ商品目録を備うる商舗にしてたまたま客の来って求むるものあれば只今それは品切にておあいにく様と答うるもの商売の何たるを問わず珍しからぬ事なり...
永井荷風 「偏奇館漫録」
...あいにく肥取(こいとり)が来ているので...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...あいにく自分の家族は酒に親しみの薄いものばかりで...
夏目漱石 「行人」
...生憎(あいにく)材料払底の為(た)め其意を果さず...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...あいにくその錐は人から与えられる事もなく...
夏目漱石 「私の個人主義」
...松井町に縁付いて居る筈ぢやないか」「生憎(あいにく)お産をしたばかり」「それは氣の毒なことだな...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...あいにく夜警員はそれ以上言えず...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「くちなしの花」
...生憎(あいにく)...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...――で、にわかに足をいそぎかけると、あいにく、辻の出会いがしらに、ばったり、婆惜(ばしゃく)の親の閻(えん)の婆さんにぶつかってしまった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...あいにくわたしンとこには舟はないが...
和辻哲郎 「夢」
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